発声練習用シチュエーション文書【講義:魔法対策論-基礎編】
魔法についての講義を行うというシチュエーション文書です。
読み上げや朗読や発声練習用の簡単な文書を書いてみようとしたら謎のシチュエーションになってしまった物です。
面白さやストーリーを追求した物では無いです。
"文字を声に出して読みたい"場合に使用してみてください。
また、こちらは練習用のつもりではありますが、実際に何かしらにご使用しても構いませんし、許可も必要ありませんが、もし何かしら配信などでお使いになる際には概要欄にリンクまたはタイトルの記載をお願いいたします。
※読み上げる部分は基本「」の中だけとします
※板書や教材の読み上げをイメージしており、想定としては全体的にゆっくりな雰囲気です
※句読点は間を置く意味で多めに置いてあります。間も広めでもゆっくりめでも良いと思います
※改行はある程度の内容の繋がりと区切り、そして会話のテンポをイメージしておりますが、この辺りは好きに解釈してください
※()や枠外はシチュエーション再現のための表現や別途効果音などを記載します。参考程度に
(ドアを開く音、閉じる音、教壇まで歩き、教材を置く音)
「皆さん。おはようございます」
「それではこれより、魔法対策論基礎の講義を始めます」
(一呼吸。雰囲気としては一回黒板を向いた後思い出したかのように生徒の方に振り替えるイメージ)
「ああ、そうでした。魔法対策論は特に大事な魔法論述の1つです。必ず今後のあなた方の糧となります。途中で寝てしまわないように」
(しまわないように の後半少し語気を強める)
(黒板の音を入れてもいい)
「まず、基本的なお話から。魔法の発祥、起源について。
諸説ありますが、1番有力だと言われているのが、身を守るため、というものです」
「まず危険があり、身も守るすべが必要になり、次に大切な物を守る方法が、危険に抗う手段が、危険を払い除ける技が、魔法とは、そうやって進化してきたと言われています」
(少しの間、歩いてもいい)
「やがて余裕が生まれ、生活を豊かにするものや、何に使うか分からないようなものまで作られるようになりましたね」
「その辺りの成長や流れ、文化や歴史、経済などについては別の科目となりますので、興味がある分野は是非積極的に受講してみてください」
(教卓に手を置いたり、少し音を出してもいい)
「今回、この話で大事なのは、つまりは攻撃、攻性魔法より先に、防性魔法があったということです」
「他の魔法のベースになったり、取っ掛かりとなったと言い換えてもいいかもしれません」
(少し優しい感じ)
「皆さん、最初に魔法対策論と聞いて、どこか少し受け身なイメージを持ってしまったりしていませんか?」
「勿論、防性魔法、防衛術というのは攻撃に対する対策と言えます」
「しかし攻性魔法もまた、防性魔法や防衛術があったから生まれた、相手の防御に対する、対策なのです」
「攻性魔法や防性魔法についての詳しいお話は、戦闘術や防衛術に関する科目を受講していただけたらと思います」
「では、今回お話していく、魔法対策とは具体的に何なのか」
(本題に踏み込んでいく感じ)
「それは、魔法の対処についての考え方、そして知識です」
「魔法の対処方法は、大分類だけでも37種類に渡ります」
「防御系、反射系、相殺系、破壊系、分散系、書換系、転換系、乱操系、封印系、制限系、制御系、魔力系など」
「名前だけ聞いても複雑で、良く分からないかもしれませんね」
「今回は基礎ということで、簡単にイメージだけでも掴んでいただけたらと思います」
「魔法は媒体や術式、形式に関わらず、"発生"と"影響"という事象に分けられます」
「入門魔法として知られるファイアボール」
「ファイアボールを生成するのが、"発生"」
「そのファイアボールが何かを燃やすのが、"影響"」
「といった具合ですね」
「ではそのファイアボールの標的となってしまった場合、皆さんならどうしますか?」
「何かを壁にする。建物の裏に隠れる、防性の魔法を張る。そういったものが思い浮かぶかもしれません」
(少し愉快そうに)
「私だったら、まず、相手の魔法式を砕きます」
(微笑まし気に)
「ズルいと思いましたか?」
「ここが魔法対策の特に面白いところなんです」
「なにも、魔法を受ける必要はありません」
「"発生"を止めてしまうのもまた対処であり対策なのです」
「では防性魔法や"影響"に関する対処と対策が不要かと言われれば、そういう訳でもありません」
「先ほど言ったように、相手の攻撃に対して私が魔法式を砕くという対処をしようとしたように、相手も"私に魔法を止められないようにする"対処をしてきます」
「これもまた、魔法戦闘自体のとても面白いところですね」
「魔法とは、そういうことができてしまうのです」
「対処と対処の合戦とも言えますが、予めどういうことが想定されるのか、どういった手段を用意しておくか、そして、どう対処させないか、それが魔法を使うという事であり、魔法対策論というものです」
「少しは興味が出てきましたか?」
「では次に、大分類が37種類もあるのは何故か」
(少し楽しそうに)
「それは勿論、万能な一手というものが存在しないからです」
「どんなに優秀だと思われる術でも、必ずそれを看破し、突破してくる術が生まれます」
「それらは攻性魔法でも、防性魔法でも、付与魔法などでも変わりません」
「そういったものが積み重なり、複雑に絡み合い、有利不利といった相性というものが生まれていったのです」
「あともう一つ、大きなところで言えば、各人の適正がありますね」
「魔法の適正というのは、皆さんが理解されている自身の魔法性質の他に、性格や身体的適正というものもあります」
「例えば、攻めるのが得意な人、守るのが得意な人、運動が得意な人、体が大きい人、考えるのが得意な人、面白い事を言える人」
「全員に火の魔法の適性があったとしても、戦法も対策も全く違うものになっていきます」
「攻めるのが得意な人や守るのが得意な人は分かりやすいですね」
「攻めて攻めて攻め続けて、相手に反撃の隙を与えないだとか」
「耐えて耐えて耐え続けて、堅実な反撃を狙っていくだとか」
「運動が得意な人は、動体視力を活用して機敏に"発生"への対策をしたり、"発生"前に相手への距離を詰めたり」
「体が大きい人は、自身のリーチの長さを活かした魔法展開や、体で術式を隠したり、付与魔法で長所を伸ばしたり」
「考えるのが得意な人は、相手の考えを読んだり、先の事を考えて魔法をトラップのように駆使したり」
「面白い事を言える人は、相手が思いつかないような手法をとったり、盤外戦術という手もありですね」
「このように自分に合った魔法戦術というものを深く理解することも大切ですが、同時に、相手の魔法スタイルや適性を予想するというのも対策においてはとても大事なことです」
「当たり前ですが、相手が得意なことや有利なことは自分に不利であり、相手が苦手なことやできないことは自分にとって有利なことになりますから」
「自分には難しいことや、できないことでも、知識として持っていることが武器となります」
(ちょっと盛り上がった熱を冷ましながら)
「さてさて、少し細かいお話もしていきましょうか」
「知識の大切さも少しは分かっていただけたかと思いますが、大分類37項や数千に及ぶ小分類まで全てを暗記したりする必要はありません」
「あくまで分類分けとして名前が振られているだけですので、皆様には名前なんかよりも各分類のもの達がどういった働きによって対処となり得るのか、大体の雰囲気を知っていただこうと思います」
「既に魔法についてある程度の入門的知識を修めている皆様は、魔法陣、魔法式、詠唱といった"入力"と、魔力、エネルギー、代償といった"供給"と、展開、放出、操作といった"出力"についてはご存知だと思います」
「その魔法という概念について学ぶ上で大事なことは先程説明した二つの事象、"発生"と"影響"ですが、対策においては"発生"を特に重視します」
「というのも、"影響"を引き起こしてしまった時点で相手の目論見が通り、対策は失敗したと言えますから」
「また、"発生"を重視するといっても考えるべき事が半分になるかと言えば、答えは"いいえ"です」
(ちょっと嬉しそうに)
「何故なら"発生"に対してのアプローチというものは、皆さんが想像できないくらい、沢山あるからです」
「これもまた、考え方としてはまず大きく二つ」
「『"発生"に対して何かをする』か、『"発生"後に何かをする』か、です」
「少し汚い言い方で、『"発生"を潰す』、『"発生"後を潰す』、と言われたりもしますね」
「ああ、"発生"後と"影響"の違いが気になる方もいるかもしれませんね」
「"影響"というのは、先ほど説明したとおり、ファイアボールが目標に着弾し、対象を燃やすことをいいます」
「"発生"後というのは、ファイアボールが生成された後から目標に着弾するまでの間を指します」
「つまり、ファイアボールが目標に向かう途中で消えてしまったり、何かに止められてしまった場合は"発生"後に対処が成功し、"影響"は失敗したということですね」
「ではこのまま、まず分かりやすい方の『"発生"後に何かをする』タイプについて解説していきます」
「防御系、反射系、相殺系、と呼ばれるものは大体このタイプとなります」
「そして破壊系、分散系、書換系、転換系、乱操系、制御系、魔力系の一部にもこのタイプがありますが、細かく説明していてもキリが無いのでこの辺りはザックリといきましょうか」
「防御系は名の通り、防ぐことを目的とした対処法です」
「目標との間に生成魔法で壁やバリアを構築したり、自身に付与魔法で防御強化や魔法耐性、属性エンチャントなどを施したり」
「一見単純そうに思えますが、相手の"発生"から"影響"を予測し、しっかりと受けられるだけの対応をしなければいけませんので、実はそこそこ難しい方法となります」
「威力を見誤れば防ぎ切れずにダメージを負いますし、"供給"を相手より多くつぎ込めば多少安全に防ぐ事はできるかもしれませんが、いずれ相手より先にこちらのリソースが尽き、結果的には敗北に繋がることでしょう」
(少し溜め)
「ですので、見極める力と事前の準備が大事となってきます」
「見極める力があれば、相手の属性に対して有利な属性や性質を使う事により、対処に使用する魔法のレベルを低い物にでき、展開時間を短縮したり、リソース消費を抑えることができます」
「ここでいう事前の準備とは、自分が対応できる手段を増やす魔法特訓や有利不利などの知識を深めることの他に、フィールドに"出力"や"供給"を短縮、効率化する仕込みをしたり、対処魔法の予測展開や先行展開を行ったりというものです」
(含みがありそうな感じ)
「魔道具などの触媒を使用するのを検討するのもありですね」
「以上が基本的な防御系の考え方となります」
(このまま駆け抜けるような気合を入れる雰囲気)
「次に反射系と相殺系について」
「こちらも名前からある程度は予測できると思いますが、反射は魔法の反発や相反の性質を利用した対処法で、相殺系は相反や消滅の性質を利用した対処法です」
「詳しく解説していると時間が掛かり小難しい話となってしまいますので、各性質については今回省略させていただきますが、興味がある方はこちらも魔法物理学や上級魔法学の方を受講していただければ、今後必ず何かしらの力になるかと思います」
「反射系は相手に返す、相殺系は打ち消す、とりあえずそれだけ分かっていただけたら今日は十分です」
「どちらもまた、防御系と考え方自体は近しく、見極める力が大事ですが、違いとしては反射系は準備が、相殺系は知識がより大事になってきます」
「基本的に反射系は時間が掛かり操作も難しく、リソースの消費も大きいものが多いです」
「その代わり、反射系の主な利点は、展開さえできてしまえばそれなりの効果と対応力があることです」
「逆に相殺系は咄嗟の反応が求められることが多く、知識を引き出す早さと正確性が求められます」
「その代わり、相殺系の主な利点は、仕込みや魔法の準備が要らない事です」
「より高度な次元になってくると、反射系は貫通属性などの不利性質が分かりやすく、相手に見られてから対処をされてしまうことが多いです」
「そして、相殺系は同レベルの魔法をあてがえばいい対属性が存在する魔法自体が少なく、有利属性や不利属性で相殺を狙っていくことが必然的に多くなります」
「それにより、魔法ごと、属性ごとの影響係数を咄嗟に計算しなければいけない上に、複合属性や天候影響なども合わさると、その計算はあまりにも難解と言わざるを得ないでしょう」
「防御に失敗した場合、失敗した分の"影響"によるダメージを受けますが、反射に失敗した場合はほぼ元々の"影響"を受けますし、相殺に失敗した場合は用いた魔法により減衰や増幅や爆発などの可能性があり、結構危険となりますので気を付けましょう」
「さて、『"発生"後に何かをする』タイプにおいて、相手の魔法の"供給"と"出力"を意識することが大切だというのが分かりましたね」
「残りの破壊系や分散系やその他の分類においてもアプローチの方法が違うだけで、考え方や見方は似ていますので、軽く意識して覚えておいてください」
「破壊系なら、性質や相性による破壊か、制御の破壊や瞬間的な放出により瞬時に魔法を破壊することによって爆発なども起こさずに対処をするもの」
「分散系なら、分断や拡散の性質による分割か、魔法の核や軸に干渉して魔法を分散させて対処をするもの」
「書換系なら、軌道や操作系統を上書きしたり、"供給"を別の物にしてリソース不足で霧散させたり、魔法自体に自分の属性や主を勘違いさせたりして対処をするもの」
「転換系なら、属性を転換し、自分に無影響なものに変えたり、性質を転換し、相手の魔法を利用して自分に有利な"影響"を起こしたり、"影響"を転換し、自分のリソースに変えたりして対処をするもの」
「乱操系なら、術者の感覚を乱すことで魔法制御や魔法維持を妨害したり、魔法を乱して形や制御を保てなくして対処をするもの」
「といった感じです」
「まとめますと、『"発生"後に何かをする』タイプは"供給"と"出力"から魔法の強さ、大きさ、性質、効果を予測し、対処を実行するというものとなります」
「勿論、例外も沢山ありますが、基本的にはそういうものだと思ってください」
「では次に、『"発生"に何かをする』タイプについて」
(少し疲れた感じ)
「こちらの方が対策としてのレベルが高く、よく難しいと言われますが、魔法学的観点で見れば、そもそも魔法を"発生"させないということは相手の両手足の自由を奪ったに等しいとも言われます」
「これは、相手の選択肢を封じてしまうことと、"キャンセル"というテクニックが絡んでくることにより、相手の後続詠唱に硬直を発生させられることを指してもいますが、場合によっては相手が用意していた"供給"と"出力"もそのまま無駄になり、圧倒的なアドバンテージを掴むことができる可能性があるからです」
(息抜きといった感じ)
「"キャンセル"についてはご存じですか?」
「皆さんも今までに初歩的な魔法を習得し使用したことがあると思いますので、何となく体感したことがあると思いますが、魔法には術後硬直という欠点が存在します」
「魔法陣や結界形式などの"入力"方法であれば、"入力"媒体自体が熱や魔力を持ち、魔法式や詠唱形式などの"入力"方法であれば、術者自身に負荷が蓄積して硬直と魔力の淀みが生まれます」
「少し時間をおけば全て抜けていき元通りとなりますが、無理に連続して魔法を行使しようとしても上手く形成できなかったり酷く効率の悪い劣化した魔法となってしまいます」
「そしてこの術後硬直ですが、魔法の行使に失敗した場合、正常に魔法を使用した時よりも負荷が重く長くなってしまう性質があります」
「この性質を意図的に起こすことを、"キャンセル"と言います」
「つまり、『"発生"に何かをする』タイプは相手の魔法行使を失敗させるという対策とも言えます」
(少し面倒そうに)
「余談ですが、連続魔法や遅延魔法といったものの名前を聞いたことがあると思いますが、これらは術後硬直が理由で生まれたものだと言われています」
「また、使用する魔法属性や魔法性質を変えることによって術後硬直を少なくするテクニックなども存在しますし、高度魔法術学には、自身の魔法を"キャンセル"することにより後続の魔法を高速で展開したり、リソース消費を"キャンセル"して2回の魔法を1回の"供給"のみで"出力"するテクニックなどがあったりもしますが、まぁ、一般的には"キャンセル"とは相手を妨害することを指しますのでそう覚えておいてください」
(気が楽になった感じ)
「それでは、『"発生"に何かをする』タイプの具体的な対処の働きについてですが」
「既にある程度分かってる方もいるかもしれませんね」
「『"発生"後に何かをする』タイプは"供給"と"出力"を注視していましたが」
「『"発生"に何かをする』タイプは"入力"と"供給"が大事になってきます」
「相手の"入力"に対して破壊するか、分散するか、書き換えるか、転換するか、乱すか、封じるか、制限するか、制御に干渉するか、魔力で歪めるか」
「または"供給"に対してそれらを行うか」
「説明していないマイナー分類もありますが、先ほども説明したようにどれも考え方や見方は似ていて、異なるアプローチの仕方の数だけ大分類名となって分かれています」
「大体は名前からもイメージできると思いますので、また細かい説明は省略しますが、『"発生"に何かをする』タイプはここから更にとても選択肢が広くなっていきます」
「といいますのも、対象の取り方の自由度が劇的に増すからです」
「魔法対策論の基礎編では詳しいところまで説明している時間が無いため、こちらもサラッとイメージだけ掴んでいただけたらと思います」
「『"発生"後に何かをする』タイプの場合は、"発生"した魔法が対象となるため、基本的に対象を取るという行為が無いのですが、『"発生"に何かをする』タイプでは、まず対象の選定と方法を決めなければいけません」
「対策法によってはそもそも対象を取らない形式の物もありますが、それについても対象を取らないという対象をとると認識してください」
「まず、何故対象を取るか」
「それは影響を及ぼす相手が決まっていなければ何処にどのような対策を行えばいいか分からず、対処手段も魔法も行使できないからです」
「次に、対象の選定とは」
「相手が何かによって必要な性質や属性がまるで変わるため、そして及ぼしたい"影響"によって更に追加で必要な要素も変わってくるため、予め、大体の目標と筋書きを決めておく必要があります」
「そして、対象になり得るものと、対象を取る方法について」
「ここが一番厄介で複雑なのですが、対象になり得るものは、全てです」
「空気、空間、時間、人、物、魔力やエネルギー、形式、概念、ありとあらゆるものが対象となり得ます」
「対象がそれだけ自由で多岐に渡るのですから、対象を取る方法も勿論何でもありになってきます」
「空間的なポイント指定やエリア指定、魔法形式や"供給"形態のシステム指定、ターゲットや認識や視認によるロック指定、存在の仕方や魔力の性質を見る素質指定、エネルギー量や予測されるダメージ範囲から算出する"影響"指定など」
「そうして物か"供給"か"入力"の魔法式などをどうにか唯一に指定した上で"影響"内容と"影響"場所を編み上げ、一つの対処となります」
「これが、『"発生"に何かをする』タイプなのですが」
「何かこう聞くと難しそうですよね、ですので簡単な例で説明すると」
(読み上げるような感じ)
「AさんはBさんが使う土の魔法を止めたいです」
「Aさんは、土の魔法だから地面に魔法陣を展開して魔法の"入力"を行うと予想しました」
「そして予想通りBさんは魔法陣を展開して土の魔法の"入力"を開始しました」
「Aさんは魔法陣の展開が始まった段階で予め準備していた、封印系に分類される空間固定の魔法を、Bさんの魔法陣の一部に出現させ、Bさんは魔法陣の展開に失敗し、魔法が"キャンセル"されましたとさ」
「これは上手くいった例ですが、Aさんは何を対象に取り、何処を"影響"場所としたのでしょうか?」
「単純に考えれば、Bさんの土属性の地面展開型魔法陣を目視で対象とし、また"影響"場所も魔法陣の展開先だと思われますね」
「しかし、Bさんの展開が早かったり、見えなかったり、Aさんの認識している距離感や、Bさんの展開する魔法陣に少しでも擬装やズレがあれば、この対策方法では一瞬で破綻してしまうのです」
「ではAさんの対策や対処は間違っていて失敗だったのかというと、今回はそれで成功したので正解とも言えますよね」
(キリッとした感じ)
「魔法において、絶対というものはありません」
「ですので、それぞれの対象の取り方や対処法というのはその時々で正解であり、間違いであり、人の数だけ正解があるとも言えてしまうのがこの魔法対策論というものの深くて難しくて本当に面白いところなのです」
(楽しそうに)
「オマケ話ですが、絶対座標や相対座標での指定は計算次第でズレが生まれにくく、オススメではありますが、使い勝手は良くありません」
「私の一番のオススメは道具を用いて、対象に傷跡を残すことで対象を取るという方法です」
「例えば魔法弾を込めた銃で相手の魔法陣を・・・」
(チャイムなどの刻限を知らせる音)
「あら、少し話したりませんが、時間となってしまいましたね」
「対策論の基礎編では座学がメインとなってしまい少し退屈な時間だったかもしれませんが、実践編、応用編では皆さんが大好きな実技もありますので、良かったらこちらも受講してみてくださいね」
(少し固めで)
「今回の資料についてはこちらの術式認証コードから閲覧が可能です。自由に復習やレポートなどに活用してください」
「では、お疲れ様でした。本日の講義は以上となります」
(優しい声色で)
「あなた方のこれからの魔法生活が、少しでも彩り豊かで実りあるものでありますように」
(退室音)
終
難しいですね、こういうの書くのって