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気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!  作者: 味噌村 幸太郎
第九章 スランプ作家

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いい映画を鑑賞すると、テンションが上がる


 白金の策略にまんまと引っ掛かり、俺は初のラブコメ作品『気にヤン』の執筆にとりかかった。

 まずは主人公が高校に入学し、アンナと衝撃的な出会いからデートをするまではスラスラと書けた。

 しかし、それ以上は書けなかった。

 なぜならば、実体験を元に小説を書いているために、デートの回数が足りない。


「またアンナの力を借りないとな……」


 キーボードのタイピングを止めるとノートPCをたたんだ。


 スマホの時刻を見れば『17:45』

 もうこんな時間か……。


「ダメだ。なにも浮かばない」

 そう……こんなときこそ、映画でも観てリラックスせねば!


 ダメだ。映画が観たくなってきた……ポカーン。

 よし映画を探そう。


 俺は簡単に着替えをすますと、家を出た。

 地元の真島駅から博多駅へと向かう。


 目的地はカナルシティ。

 この前、アンナと世界のタケちゃんの作品『ヤクザレイジ』を観たのだが、あの時はアンナの痴漢騒ぎで内容が頭に入らなかったので、もう一度観たいと思ったからだ。


 博多駅にも映画館はあるが、俺は昔からカナルシティが好きだ。

 でも一番好きなのが、中洲にある映画館『中洲サンシャイン』だ。


 カナルシティにつくと、平日だというのに若者で溢れかえっていた。

 たぶん学校帰りの学生たちだろう。

 ちらほらと制服を着たままのJKやDKが、キャッキャッとアホみたいにはしゃいでいやがる。

 リア充は他にいけ!


 軽くイラつきながら映画館へと向かう。


 チケット売り場でもやはり学生たちが多い。

 こいつら、制服着たままで遊びやがって……。

 おめーらが、映画の悦びを知るにはまだ早いんだよ!

 と毒づいたところへ、見慣れた制服が。

 あれは三ツ橋高校の生徒だな……。


 がたいのいい青年と校則無視のミニスカJK。

 カップルかよ……。


「なあ、なにを観たい?」

 青年は親しげにJKへと肩を寄せる。

 JKは何か嫌そうな顔しているな……。

 なんじゃろ、倦怠期か?

「私は別になんでもいいです……福間先輩から誘われたんで」

 福間? どこかで聞いた名だな~


「じゃあ、こうしようぜ。この映画館は13個のスクリーンがある。だからお前の好きな番号で決めよう」

 ファッ!? そんな無茶苦茶な選び方……全ての映画監督に謝れよ!


「おもしろそうですね。じゃあ5番で♪」

 女も同調すんな!

「よし、5番か……えっと『ヤクザレイジ』だな」

 そう言うと、ルーレット感覚で男は、チケットを購入し、女を連れて劇場へと向かった。

 

 キレてもよかですか?

 ったく、こんな映画愛が足りない奴らと、タケちゃんの崇高なる作品を観なければならないとは……。


 俺は激おこぷんぷん丸で、チケットを買う。

「ヤクザレイジ、高校生一枚」

 機嫌の悪さを察したのか、受付嬢が苦笑い。

「お席の方はどうしますか?」

「一番前の真ん中で」

 あのバカップルと、肩を並べて観たくない。

 席を一番前にすれば、一緒になることはないだろう。


 ~2時間後~


「いやぁ、いい映画だったなぁ。公開終了するまで、毎日観に来ようかなぁ」

 だって、経費で落とせるからね♪

 俺はタケちゃんの作品を存分に楽しむと、余韻に浸りながら映画館をあとにした。


 スマホの時刻を見ると、『19:30』

 ふむ、腹が減ったな……。

 ラーメンでも食って帰るか。

 俺は『はかた駅前通り』をてくてくと歩く。

 鼻歌交じりで。


 歩くこと数分、博多駅の駅舎が見えてくると、俺は右手に曲がり、人気の少ない通りに入った。

 主に居酒屋が多く、サラリーマンなどが帰りに一杯やるところで、知られている。

 そしてラブホが複数あるのだ。

 こんな駅の目の前で『おせっせ』しなくてもよかろうもん。


 そして、お目当てのラーメン屋に着く。

「う~ん、いい香りだ」

 豚骨ラーメン独特の濃ゆい香りが漂う。


 俺はこのラーメン屋が大好きだ。

 博多駅に来れば、決まってラーメン屋は、この店と決めている。

 その名も『博多亭』


「よし、食うか」

 その時だった。


 ラーメン屋のすぐ隣りのビルから、叫び声が聞こえた。


「いやっ!」

「いいだろ!」

「やめてって言ってるじゃないですか!」


 制服を着たJKとDKがラブホの前で揉めている。

 大柄のDKがJKの手を掴み、強引にラブホへと連れ込もうと試みている。


 なんじゃ? 痴話げんかか?


 トラブルはごめんだ……と願い、俺は叫ぶJKを無視して、再度ラーメン屋に入ろうとする。

 が、甲高い声が俺を呼び止めた。


「あ! 新宮センパイ!」

「へ?」

「助けてっ!」


 そう言うと、彼女は俺の背中に逃げ込んだ。


「よかったぁ。新宮センパイがいてくれて……」

 振り返ると、そこには安心したかのように、胸元で手を握る少女が一人。


 ショートカットで三ツ橋高校の制服を着たミニスカJK。

 赤坂 ひなたか……。

 めんどくせっ!

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