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気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!  作者: 味噌村 幸太郎
第三十四章 Wヒロイン

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新しい服を着る時はカッコイイと思おう!


「で、今回はどんな要件だ?」

『それなんですけね。大ニュースですよ! “気にヤン”の第一巻の予約注文がすごくて発売前なのに重版決定しました! もちろん、コミックもすごい人気ですよ!』

「え……嘘だろ?」

『ホントですよ! 特にオンラインショップでは売り切れが多くて、泣く泣く電子書籍版を購入するユーザーが多いほどの大人気!』

「……」

 正直言って、あんまり嬉しくなかった。

 だって俺が過去に本気で書いた“ヤクザの華”の方が、絶対に面白いもん。

 何が楽しくて、男同士がイチャこいたブログみたいなラブコメをわざわざ新刊で買うのだ?

 逆に恥ずかしくなってきたわ。



 だんまりを決め込む俺に対し、受話器の向こう側から白金が不思議そうに喋り出す。

『あの、DOセンセイ? 嬉しくないんですか? “気にヤン”が売れれば、同時に作家として復活できるチャンスなんですよ!』

「う、うん……まあ嬉しいよ。取材した甲斐があったってもんだ」(棒読み)

『そうですか。じゃあ話は早いですね! 発売日が今月の13日なんですけど、DOセンセイにはカナルシティ博多でサイン会をやって頂きたいんです!』

「サイン会?」

『ええ。初版をゲットできなった方たちに、少しでも購入できる機会を与えたいので、出版社に少し残っている書籍を販売したいんです。DOセンセイのサインも添えて♪』

「そういうことか。了解した。読者には優しくするのがモットーだからな。いくらでもサインしてやる」

『じゃあ、13日にカナルシティでお会いしましょう!』

 通話を終えると、俺は確かな手ごたえを感じた。

 サイン会だなんて、オワコン作家の俺には、無縁のイベントだからな。

 気合入れてサインの練習でもしよっと。

 だってさ、カワイイJKがいっぱいくるかもしれないじゃん!


  ※


 13日当日。俺はいつもより、身なりを綺麗に整えて、博多に向かった。

 女子高生が『先生、抱いてください!』なんて、迫ってくることも考慮しておかねば。

 だから、朝風呂に入ってボディシャンプーで入念に身体を洗った。特に股間を。

 普段のラフなファッションではない。

 この日のために、高級ジャケットを購入。

 ジーパンではなく、大人っぽいゴルフパンツ。

 インナーはオックスフォードシャツ。

 頭にはハット帽子なんて被っちゃって。


 我ながら、カッコイイではないか。

 トイレにある大きな鏡でポーズを決める。

「フッ。これが作家というものだ」

 ハット帽子を被りなおして、トイレから出る。


 目の前は、カナルシティの象徴的な場所でもあるサンプラザステージ。

 背後に小さな河川が流れている。

 決められた時間に噴水ショーが行われる広場だ。

 それ以外にも有名な俳優や歌手が訪れた際には、ライブや握手会が開催される。

 つまり、この俺。新宮 琢人もその著名人に仲間入りということか……。


「人気者は辛いな……」

 再度ハット帽子を被りなおして、苦笑する。

「まだまだ人気者じゃ、ありませんよ。DOセンセイは」

 その声は、かなり下から聞こえてくる。

 見下ろせば、イチゴがふんだんにプリントされたワンピースを着た子供……みたいなおばちゃん。

 俺の担当編集。白金 日葵だ。

「なんだ? ひがみか、白金?」

「違いますよ。今日のサイン会はDOセンセイの力だけじゃないでしょ? 取材に協力してくれたアンナちゃんが、一番の功労者だって言いたいんです」

「うっ……」

 確かに俺一人の想像だけでは、あんなリアルに書けなかった。

「あと、今日のファッション。いつも以上にダサいですよ」

 そう言って顔をしかめる白金。

「はぁ!? これはタケノブルーで新調した大人のファッションだぞ! 全身タケノブルーを着ている高校生作家とか、カッコイイに決まっているだろ! 女子高生が一目惚れしてしまいそうな……」

 とまだ話の途中だと言うのに。

 白金は大きなため息を吐きだすと、一言呟く。

「申し訳ないですけど、それ超ジジくさいです」

「……」

 タケノブルーはめっちゃ、“なう”なファッションなの!(涙目)

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