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男になりたい悪役令嬢。〜お兄様目線より

わたくし、男になる!

だから、

丸刈りにするのですわ!



そう断言した妹は何を血迷ったのか

お手伝いの田中さんに買わせたらしい電気シェーバーを手に持って自分の頭に添えて今にもスイッチを入れそうだった、

せっかく腰まである、綺麗な髪をなぜ剃るのか

と聞いたらそう、自信満々に断言された...。

妹の部屋に来たのは学校から帰宅して、いつもなら走って出迎えてくれる妹が来ない事を不思議に思いながら自分の部屋に向かっている途中で田中さんに助けて下さいと言われてよく分からないまま妹の部屋に連れてこれたからだ。妹が誘拐されてから2週間ほど経つが妹は、家から出ようとしない。まあ、当然だ。母も無理しなくていいと言っているし。ちなみに誘拐事件については西園寺からの働きかけにより報道されたり、事が大きくなって妹の未来に傷がつかないようになど、他にも色々父が手をまわした、らしい。

自分が近くにいながら怖いめに合わせてしまったのを不甲斐なく思うも自分が気にしたら妹はもっと気にしてしまいそうでなるべく考えないようにしていた。

そんな時に妹が事もあろうに丸刈りにするなどと言い出して一瞬フリーズしてしまった。



「...江理華、あのね。髪の毛を剃っても男の子にはなれないんだよ?」

ちゃんと考えられる子のはずなのに時々、何を思ってそうするのか分からない突飛な行動に出る事が多々ある妹。

男になれるはずも無いのも分かっているはずなのに...


「お兄様、私、誘拐された時に男の人に身体を触られたのが怖かったのです。...ですから、見た目だけでも男にして無闇に触られないようにしたいのです!!」


むん。と胸を反らせてそういった。


幼いながらに危機感を覚えたのだろうか。

てゆうか、怪我させられただけじゃなくて身体を触られたとかあったなら、ちゃんと言って欲しかった...。

父に伝えたら犯人どうなるのだろう...。

少し考えたが、まあ、それは自分が決める事ではないので考えなくて良いか。と思い直してやめた。



よっぽど怖かったのだろう

少し身体が震えていた。

よしよしと安心させるよう頭撫でながら、さて、どうやって阻止しようか考える。


服装を変えるくらい別にいいと思うし、あんなこと後があったのだから暫くは母も何も言わないだろう。

髪の毛もウィッグを被れば良いだけである。


それをそのまま伝えても断行しそうな妹...。



さて、どうやって宥めようか...

そう、思案して


「ねえ、江理華。僕はその髪型が、似合っていると思うから短くして欲しくないな?髪の毛を短くしたいなら外ではウィッグとか被って家ではそのままの江理華でいるのではダメかな?」



頭を撫でられながら、妹は耳の上に添えていたシェーバーを頭から下ろしても手から離さずぎゅっと持ったまま、眉を寄せて考えていた。


しばらくして


「......お兄様は剃らない方が良いと思いますか?...丸刈りの私はき、嫌いになりますか?!」


吹くのを必死に耐えた。


「...うーん、そうだな。折角綺麗な髪の毛なのだからこのままの方がいいんじゃないかな?って思うよ?...でもね、丸刈りになったくらいで江理華の事を嫌いになったりしないから安心して?」


ね?っと笑いかける。


目をうるうるさせてこくこくと頷く妹に対してバカワイイと思ってしまった。


「じゃあ、はい。怪我をしたら危ないからそれを渡してくれるかな?」


と手を差し出すと素直に手渡してくれてホッとした。



「それじゃあ、お母様にそうして良いか、聞きに行こうか?」


素直に頷き、付いてくる妹にどんな髪型にするのかなど聞いてみる。

すると、


「私、お兄様みたいになりたいのです!!髪の毛も目も黒じゃなくしたいです!そしたらお兄様みたいにかっこよくなれると思うんですの!」


拳を握り腕をぶんぶんと動かしながら力説する妹に

ずっとこのままでいて欲しいなと思いつつもそうしたらそうしたで大変そうだなと苦労する自分の未来が見えた気がして苦笑いした。




そんなこんなで、母に小学校に上がるまでならと許可をとり、茶色のウィッグを探すも黒の方が似合うと言われてしょんぼりしながら短い黒のウィッグを被り、男物の服を着て鏡の前でポーズをとる、西園寺家の次男が出来上がった。





世間体を考えた母に別の幼稚園に通うよう言われて、そこで園児達に男の子だと思われ、女の子達にモテまくったのは想像にかたくない。

お読み下さりありがとうございました。

ほぼネタになり始めてしまい、申し訳ないです。

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