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......。


先程、パチリと目を覚まし一瞬パニックに陥るのも自分の状況を思い出して落ち着け〜。と念じる。昔から困った事があると現実逃避して眠ろうとする癖をどうにかせねば...と思いながら、状況を整理しようと思って思い出す。

九条家で遊んでたら、和奏ちゃんがフラフラ行って、お兄様に諭されてるのを二へ二へ見ていたら口塞がれて気付いたらココ。

という訳か。


ふむ。



うん。

...アハハ。これは、誘拐というやつでござろうか、どないしよう。


つーか、なんも見えない。怖いわー。

幼気な幼女にこんなことしないで頂きたい。

全く。


どうしよう。周りに人の気配が無い。

もしや今なら逃げられる?無理か...。

まあ、こうなったら当たって砕けろだ!

目は見えなかったけれど立ち上がって壁などを確認するため慎重にゆっくり歩いていく。

1歩、2歩、3歩、4歩、5歩、6歩。

6歩目で壁らしき物にぶつかる、取り敢えず、少し蹴ってみる。どん。当たった感じ金属っぽい

とても壊せそうになかった。

でも、大きな音出していたら誰か気づいてくれるかもしれない。何もわからないより自分をさらった人間がどんな奴かわかった方がいい。

危険は覚悟で現状打破しよう!

そう思って最初より強く、思いっきり蹴り飛ばす

ドンっっ

足はじんじん痺れて痛い、身代金目当てではなく殺されるかもしれない可能性も思い浮かぶ...。

それを考えたが何もしないで殺されるなんて御免だし、を考えればこの程度我慢しなければ、

気合いを入れてドンっっと何度も蹴りを入れる、足の感覚がおかしくなってきたので今度は体当たりした、目が塞がっているので見えなくて怖いが今はこの状況をどうにかするのが最重要だと思うのだ私的に!

ドスンっ、上手く体当たり出来たがやはり壊れない、...駄目か。

取り敢えず、壊すのは本当に諦めて音を鳴らすだけ鳴らしてみよう。

誘拐犯が来るにしてもまだ殺されはしないだろう可能性にかける。殺すなら殺すで今さっきまで放置されていた理由がわからない。

それにやはり目的などを聞き出さなくてはいけない。


ドンっ、ドスンっ、ガンっ、ガンっ、ドンっ


そのままドンドン蹴りまくっていたら

「うるっせええぇぇぇぇ!!!」

とガラッとドアが開いた音がして何かを腹に叩き付けられたかのような衝撃が走った。


その衝撃で、体がふわっと宙に浮く。

あっ、と思ったら、ドシンっと地面?にぶつかる衝撃が来た。


いっった。


お尻から落ちたらしかったが衝撃を逃がしきれず頭を少し打ってしまったらしくガンガン痛み出してきた。



うぅ...軽率に、蹴りまくらなければ良かったと今更ながら少し後悔...


そんな事を思いながら


意識が遠のいていった......




......うんん?

目を開けると目隠しで何も見えない筈なのに真っ白い部屋が見えた。

ココドコ?

広いし、何だか豪奢な作りの家具とか大量にあるのだけれど今さっき見えなかっただけで私はこの部屋にいたのだろうか?


あれ?でも、何だか見覚えが......


んー?


............


...ああっ!!!!!



ここは、死んだ後に来た場所では?


ん?死んだ?


そう思った瞬間、前世の記憶と共にここに来た時の思い出がさーっと思い出された。



ハッ

信号待ちしていたら突っ込んできたトラック、その光景がわっと襲ってきて飛び起きると


やっほー。


とどこからか声が聞こえた。


首を傾げ、あたりを見渡すが家具があるだけで何も喋りそうな者は見えない。


「あー、あー、マイクテスっ。聞こえてますか?聞こえていたら右手を上げて左手...、」


とりあえず右手を上げて左手はどうするか分からず少し浮かした。


「挙げっ、ないで右手下げる!」

挙げのところでちょっと上に動かしたがバッと下げて指示通り動かすと、


「...いいね!いいよ!!君に決めた!!!」



某、ポケットなモンスターを少し思い出した私は悪くないと思う。



「よし、じゃあ君を異世界に転生させちゃうぞっ!」

語尾に星がつきそうな感じに言われても...

これは夢なのだろうか...?


てゆうか、何がよしなんだ?

転生?異世界?

そんな事望んでいないのでやめて欲しい...。

そしてやっぱり私は死んだのか...。

まあ、そうだろうなと、やけに他人事に思えた。


「...うーん、そうだな。最初から記憶あってもあれだし、3年から15年位のあいだになんかあれば思い出せるようにしてあげるね!」


なんかあればって何だ...

少し遠い目をしながら思う。適当すぎないか?


ほいっと言われ頭がぽわんとなったが特に変わりなかった。


「あのね、今、異世界に送るのが流行ってるんだよねー!」と笑いながら言って


なんだ、その流行りに乗りたいがためにやるみたいな感じは!


「あっ、どうせなら悪役令嬢みたいなキャラが良いよね!じゃあ君が知ってる漫画に似た世界に転生させちゃうぞ!」

今度は語尾にハートがつきそうだった...。

何だかもう、言葉が右から左に突き抜けて言ってる。

何だろう、この行き当たりばったり感...


「あっ、特にどうこうするつもり無いから、好きに生きていいよー!時々暇潰しに覗き見るかもだけど!」

とけたけた笑いながら言っていた。

覗き見ないでほしい...

何だろう...顔から感情がどんどん失われている気がする...


「よーし、じゃあいってらー!」

明るく言われ

もう、どうにでもなれっと思っていたら床がぱかりと左右に開いて落ちていった......



うん。

前世なるものとか神様?がいた、らしいことは思い出したよ。

ウン。でも、この後どうしろと?

今、思い出してもどうしようも無いでしょ...。


はあー、溜息をつく。


すると、死んだ時に来ていた真っ白い部屋の床がまた、ぱかりと開き、私は落下して行った。


「ぎゃあああぁぁぁぁ」

こわっ!なにこれ、こわっっ!

したみえないんですけどおおおぉぉぉ



落下中




最後にふわっとしたら何だか戻ってきたという感覚があって、意識が戻ったのかと何となく思う。

うっすらと目を開ける。


目隠しは外されたのか、周りの様子が確認できた。

そこは今さっきいた真っ白い部屋では無く、何も置かれていない殺風景な部屋だった。

誰もいない...。

殴られたのだかした時より時間が経っているのだろうか...


誘拐された現実が自分の身に起きた事なのだと、どこかふわっと自分の体が自分のものでは無いよう思えていた感覚が無くなり、理解した。


怖くなったがその思いを消そうと頭をふる。


...うーん。とりあえず寝たフリしとこう。うん。あー、どうしようと泣かないように目に力を入れて考えていたら何故か不意に前世のお父さんが怖い話をして泣きそうになった姉と私と妹に歌った曲を思い出した。




夜中のじゅうにじー、



トイレのなかからぁー



不気味な悲鳴がぁー




......母ちゃん紙!



変な歌だし、途中まで本気で怖がった私に土下座して謝ってほしいクオリティの歌である。

父に聞いたら不気味な悲鳴は踏ん張ってる声らしい...。

そんなことを考えてちょっと笑えてきた。

思わずげしげし蹴ったものだ。懐かしい。



いま、誘拐されているというのにこんなにことを考えられているのは今さっき前世の記憶を取り戻したお陰だろう。ナイスタイミングである。

......

神様らしきものに天罰くだれば良いのに...。

交わした会話を思い出して思わずそう思った。

神様に天罰って下るのか...?

無理ならタンス角に小指ぶつけまくって悶えれば良いのに!!

そんな事も思ったがきっとナイスタイミングだったのだ!

うん。

と自分を無理やり納得させようとする。



...お腹、凄い痛いけど。

殴られたか蹴られたのか...。じんじんする。

まあ、痛いものは仕方ない。うん。仕方ない。

あまり意識しないように考えない!

痛くない痛くない!


ふぅー。

それにしても誘拐か...。

記憶を思い出した以上の衝撃が誘拐になかったのか、焦る気持ちが緩和された。

あの状況はお兄様が近くにいたし多分何とかしてくれるだろう...。

もし、記憶のないままだったら懲りずにまた、色んなところにタックルかましながら暴れるところだろう。普段猫かぶってるけどお転婆なのである、えっへん。


まあ、寝たフリしながら犯人まって、来たら聞き耳立てて作戦でも練るか!

私、賢い!

うむ。


そんなの事をつらつら考えていたら部屋の外が少し、騒がしくなった。

犯人達が戻ってきたのだろうか?


そう思い私は慌てて目を瞑った。

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