頭はいいんです。
「……。」
夜。俺が、この地にやって来て初めて迎えた夜。あの後、とりあえず大混乱だった。
『これは……、“魔法”とは違うのか。』
『えっ?いえ、名前は違いますけど……。』
『もほう……と読むんですね。どの本にもその法術は地球の語でしか書いてないのです。』
まぁ、読めない文字なら魔と模が同じに見えるのも、仕方ない。
『それで、模法というのは……?』
『……詳しいことはわかっていません。ですが、そのような法術があるということは、風の噂程度で聞いておりました。』
『伝説の法術として、噂されているものですね。』
その後、ユリイエはもっと調べてみると、部屋を出ていき、俺はアシェリーに地球の言語で書かれた古書を借りて、用意してもらった部屋に戻った。
「なんか、色々ありすぎたなぁ。」
地球では、俺どうなってんだろ。多分、家を開けたぐらいじゃ問題にはならないだろうけど。
身体は疲れているはずなのに、目は冴えていて、全く寝れる気がしない。
俺は、おもむろにベットから起き上がり、机の上にある紙と、どこの世界だよ、と思う羽根ペンを手に取った。
「スペイン語でarco irisは虹、ポルトガル語でvermelhoは赤か……。」
やっぱり地球の言語なんだよな……。
ほとんどがこの国独自の文字で書いてあるのに、史実などだけは、国を跨ぐとはいえ地球の言語がよく混ざっていることが気になった。
「まるで、初期のこの世界は地球の言語を使っていたみたいだな……。」
そんなことは無い。だって、人間に魔法を使う力なんてないし……、地球は数千年前に滅亡してるらしいし。
……考えてもわかる事じゃないんだろうけど。
「あ。俺を呼んだ理由、聞くの忘れてた。」
いいや、明日聞こう。これ以上、情報を入れても入る気が……しな……い……や。
「……早いな。」
「おはようございます。」
二日目の朝、ユリイエさんが起こしに来てくれたが、あいにく朝は強いので、5時半には目が覚めている。
「今日は、お前を試させてもらう。」
「??」
「姫が朝食を食べたらすぐに行うから、心の準備をしておけ。」
「あ、はい……。」
試す、とは……?何をするのかも全くわからないのに、どう準備しろと……?なんてツッコミは心に閉まった。
「……おはようございます。。」
「おはようございます、姫。」
「おはようございます。」
ちょうどアシェリーが起きてきた。ちなみに、俺たちは既に食べ終わっている。
「姫、朝食後、この男をレオナルドたちにも紹介しようと思います。」
「そうですね。」
「腕試しも行います。」
「っ!それは……、ソラさんにあまりにも不利では……。」
「そこで死ぬようであれば、この先足を引っ張ることは明白。この男を守る義務は、我々にはありません。」
なんだか、俺のいないところで話が進んでるみたいだ。
「ソラ、構わないだろ。」
「えぇ、構いません。」
とりあえず即答しておいた。何のことか分からないけど、バカにされた気がした。
「あの、何をするかくらいは聞いても?」
「……お前の腕を試すんだ。
『決闘』。それ以外何がある。」
……地球では聞かない、随分と物騒な単語だ。
…………感心してる場合じゃないか。
ちょっと短いですな……。
↑お前も感心してる場合じゃない。