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俺の部屋。その2

ふと時計を見ると8時を過ぎていた。


「そろそろ家まで送っていくよ。」


よいしょっと俺が立ち上がろうとすると…


「ん?ああ、いいよ別に。」


ボタンは、そっけなく答える。


「いや、外は暗いしボタンは女の子だし、その、いろいろとあぶないから…」


「え?帰らないよ?今日はここに泊めてもらうって決めたし。だから危なくも無いでしょ?」


ボタンは、悪びれる様子も無くにっこり微笑んで答えた。


―いや、それはそれで別の意味で危ないって言うか…俺が。


「ほ、ほら、着替えも何もないでしょ?急に泊まると言ってもボタンもちょっと不自由じゃない?」


「あー、着替えってか下着の替えはいつも持ち歩いてるから大丈夫でござるYO」


―絶対嘘だー。最初からこれが目的だったな。


―いよいよもって危険だ…俺が!



「なので、今日はとことん付き合ってもらうわよっ!」


―やはりこうなる…今日は寝れるのか…俺!?



「その前にシャワー借りるね。覗いたらだ・め・だ・ぞ!」


ウインクをしながらボタンは部屋を出て行った。

ボタンを始め宇宙防衛軍の面々は、頻繁に我が家に遊びに来ているので、何がどこにあるかを全て知り尽くしているのである。


因みにシャワーだけなら、この2階の廊下の奥にシャワールームがある。

当然、ボタンもそれを熟知していたので、階段を降りずに一直線でそこに向かっていった。



静けさを取り戻した自分の部屋で俺は考えをまとめていた。


―コンピューター用語である英語を俺がたまに意味を言い当てたことで、ボタンが俺に当たりを付けてきたってのは、容易に想像できるとして…


―その心の中の声っていったい…覚醒ってなんだ?まだ早いってどういう事なんだ??


―そのままの意味だよ。


―そうか。そのままの意味か。



「!?」


―こらっ!ややこしいから考え事してる時に出てくるなよ。


―すまんな。でも、疑問を投げかけられたように思ったのでな。



本当にややこしい…


――これで良いかな?ちょっと長くしてみた。


恐れ入ります…



―で、君は誰なんだ!?何故俺の意識に入って来れる!?


――それはまだ答えられない。だが、徐々に分かってくるのかもな。そこに立っている娘や他の仲間たちとの行動によってな。では、またな。


―ちょっ!待て!って、そこに立っている…?



目線をドアの方に向けると体にバスタオルを巻いた状態で、髪の毛を拭きながら立っているボタンがいた。


「ねえ、なんかパジャマの代わりになるようなTシャツとか短パンとか貸してくれない?」


目が泳ぐ俺を尻目に淡々と言った。


「ああ、そ、そうだな…パジャマな…」


足をもつれさせながら、俺はタンスに向かいながら言った。


―…一番きれいなTシャツっと…お、何故かもってたデニムのホットパンツ発見。


「こんなのでいいか?」


渾身の胆力を使い平静を保ちつつ、衣服を手渡した。


「あ、サンキュ!」


巻いていたバスタオルをはらりと外して、ボタンが言った。


俺はその場にへたり込み、下から上までボタンを眺め、


「大・三・元!」


思わずテンパる状態を一つ飛び越したようだ。


―何言ってんだ俺はー。


良く見ると下着は既に装着済みであった。


ボタンは、一瞬あっけにとられたが、大笑いした後にハッとして、今の状況を飲み込んだようで下に落ちたバスタオルをサっと拾い体を隠すようにした。


「あっち向いてて!!」


「はいっ!ごめん!」


俺は、目をギュっとつむり、180度ターンを華麗に決めたのであった。


―なんで俺が悪いような空気なんだ??俺は寧ろ被害者だろう。


――いや、役得した分加害者と言えなくもない。


―!?まだおったんかーい!!


「そういや、お家の人とかに連絡とかしなくていいの?」


そのままの姿勢で聞いてみた。


「私の実家は兵庫の遠い田舎町だから、こっちでマンション借りて一人暮らししてるの。あ、もう着替えたからこっち向いてもいいよ。」



―許可頂いたが…ここって誰の家?俺がお邪魔しに来てるみたいな気分だ。


振り向いてみるとTシャツにホットパンツ姿のボタンがいた。

ハッキリ言おう、似合っている。それも恐ろしく!


Tシャツはちょっと大きめでだぶついているが、色白で細身の体ながら出るとこは出て…以下省略

なので、すらっと伸びた脚にホットパンツが良く似合う。

シャワーの後で肌がほんのり赤みがかっているのが妙にせくすぃーであった。


俺は心の中で般若心経を100遍繰り返した。



そんな俺の苦労を知る由もないボタンは、カバンからノート型のモニター付きの端末を引っ張り出して、財布の中からメモリーカードと言うものを取り出してきた。


「さあ、今から部室で得たこのファイルを解析していくわよ!」


ボタンは、ベッドにうつむきに寝ころびながらノート型端末を操作し始めた。


端末のモニターには、部室のモニターで見たと同じオペレーションシステムとやらの画面に切り替わっていった。


ボタンは、端末の側面にあるソケットにメモリーカードを差し込んだ。

すると、ソケットの脇にある小さな緑色の光がチカチカ点滅しつつ光りだしたのであった。




ああ、長い夜になりそうだ…




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