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六角瞳  作者: 有寄之蟻
捕食編
85/114

・85・なに?知らなかったの?

驚くでも、何か言うわけでもなく、ただわずかに顔をしかめたミーに、リリはミーちゃん?と首を傾げる。


ミーは遅まきながら、あ、え、どうゆう事?と動揺したようにしてみる。


リリは訝し気に眉を寄せ、ミーの肩から手を離して、一歩距離をとる。


「……ミーちゃん、もしかして知ってた?」


腕を組み、首を傾けて見下ろしてくるリリは、彼女らしくなく威圧的だ。


その様子に驚き、それ以上にまずいっ、とミーは焦った。


とっさに、ううん!知らなかった!と否定したが、


「でも、ぜんぜん驚いてないよね?アタシがバラしたのもあんま驚いてなかったし……やっぱおかしいと思ってたんだよねー」











誰、この子。











ーーヒヤリ、と。


ミーの背筋に冷たいものが走る。


やさぐれたような口調、まるで道端の石でも見るような目でミーを見下ろすリリは、ミーの知る彼女ではなかった。


ミーは目を見張り、口からリリちゃん……?と呟きがこぼれる。


リリは独り言のように言葉を続ける。


「今まで何回か大学でミーちゃんを見かけたけど、こんなおいしそうな匂いはしなかった。なのにいきなり最高においしそうになってるし。しかも見かけないイケメンヘキサがぴったり張り付いてるわ、彼氏とか言われてるわ。無い無い。ヘキサと人間が恋人とか無い。こんなおいしそうな人間を食べずに(・・・・)いられる(・・・・)ヘキサなんて(・・・・・・)いない(・・・)


……は?と。


次々と流れ出す言葉にただ呆然とリリを見ていたミーだが、聞き捨てならない言葉に反応する。


『おいしそうな匂い』?


『こんなおいしそうな人間を食べずにいられるヘキサなんていない』?


食べる(・・・)……って何?


誰を?


……人間?


誰が?


……ヘキサ、が?


どうゆう、こ、と?


虚ろに、ぽつりとこぼれた疑問に、リリはあれー?と嫌らしく口角を上げた。


「あれれー?ヘキサが人間を食べるのは常識なんだけど……なに?知らなかったの?それとも、それは教えてもらえなかったのー?」


ミーの顔を覗き込みながら、ニヤニヤとリリは告げる。


曰く、突然食欲をそそる香りを放つようになったミーに目をつけた。


しかし、ミーの側にはすでに一人のヘキサ、つまりキムがいた。


ヘキサアイズのルールで獲物の横取りはマナー違反になるが、確認のため、キムが好きだという口実でキムに確かめにいった。


すると案の定キムは、ミーをキープ(・・・)しているから手を出すな、と言われた。


しかし、いつまで経ってもミーを食べる気配がない。


そこでリリは決めた。


だったらアタシが食べていいよね?と。

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