・84・そして明かされる『隠し事』
そういえば、自分のを触られた事はあるけど、こんなにテールをしっかり触ったの初めてだ、とミーは小さく興奮する。
自分のもこんな感じなのだろうか、後で確かめてみよう、などと思いながら、いつまでも振られる腕がちょっと痛くなってきて、どうしようと困る。
知らず眉が下がっていたミーの表情に勘違いしたのか、リリはテールを引っ込めると、
「ゴ、ゴメンね!き、気持ち、悪い、よね!なんかウネウネしてるし、ゴメンね…。調子乗ってゴメンナサイ……」
だんだんと落ち込み、完全に俯いてしまった。
ミーはいつもの流れで、そんな事ないよ!と否定しそうになるが、自分がヘキサアイズを初めて知る『人間』という設定を思い出して、なんとか踏み止まる。
しかし、リリが落ち込んでいるのは、慰めてあげたい。
それに、ミーはそもそも自分もヘキサなため、どういう反応をすべきが分からなかった。
やはり、気持ち悪がるべきなのか。
驚くのか、恐がるのか。
ミーは自分のテールを初めて見た時を回想する。
びっくりして思考が止まり、コレを使えば脱出できる!と操作の練習をした。
……改めて思い出して、そんなに驚かなかったな、と思った。
ミーはリリの肩を叩いて顔を上げさせ、ちょっと驚いただけだよ、気持ち悪くないよ、と伝える。
すると、リリは若干涙目になりながら、何度かほんとに…?と確認し、ミーはうんうんと肯定してあげた。
一応立ち直ったのか、リリは後ろ手にもじもじしながら話を再開する。
「…そ、それでね、えっとー、なんでアタシのをバラしたかっていうと……あ!そ、そう!ミーちゃん聞いて!」
がしっ!とミーの両肩を掴み、ぐっと迫るリリ。
その勢いに仰け反りながら、う、うん、何?と尋ねれば、
「あのね、あのイケメンキムさんね…………アタシと同じ、ヘキサなの」
至極真剣な声音でリリはそう言った。
うん、知ってる。とミーは内心で即答した。
そして同時に、やっぱりリリのいうキムの『隠し事』は、ヘキサアイズという事だったのか、とがっかりしていた。
キムがあんなに警戒してミーに怒るくらいだから、キムがミーに隠してる事を知っているのかと考えていたが、リリとキムがヘキサだという事はとっくに知っている。
これじゃ私の怒られ損じゃん、とリリに対してほんのりと怒りがわいた。
その感情に気をとられて、ミーはその情報を初めて知った『人間』のフリを完全に忘れてしまった。