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六角瞳  作者: 有寄之蟻
捕食編
83/114

・83・緑の目にオレンジの尻尾

リリはミーに向き合うと、おもむろにカラコンを外した。


その下から現れたのは、日本人ならよくある褐色の瞳。


鮮やかな緑なら猫のように見えたリリも、褐色だとどこか落ち着いた印象を受けるな、とひそかに思う。


なんでカラコン外したんだろう、とミーは少し首を傾げた。


「……ミーちゃんさ、なんでアタシがこんな派手なカラコンつけてるんだろう、とか思わなかった?」


聞かれて、一瞬考えたミーは、いや?と首を横に振る。


おしゃれなのかなって思ってた、と返せば、リリはなるほど、と頷いた。


「実はね、おしゃれじゃなくて、ちゃんと理由があるんだ」


どんな理由?と促すと、


「アタシの目、よく見ててね」


と自分の目を指差した。


ミーが頷いて褐色の瞳を見つめると、それはゆらりと変形して、緑色に発光する六角形の虹彩に変わる。


キムので何度か見ていたが、やはり人間瞳から六角瞳へ変化する現象は、何度見ても綺麗で不思議だ、とミーはつい見惚れてしまった。


ミーちゃんミーちゃん!と呼ばれてはっと我に返る。


動きを止めたミーに、理解できてないと思ったのか、


「えっと、びっくりするのはしかたないと思うから、もう一回するね!」


と言い、一度人間瞳に戻してから、再度瞳を六角形に変形させる。


ミーは演技しなきゃ、と思い出して、え、え、何それ、と自分でも下手くそだなぁ、と思いつつ、驚いてみた。


するとリリはミーの反応に満足したのか、緑の目をニヤ〜と細め、


「アタシはヘキサっていって、目が緑色に光るから、緑のカラコンつけてるんだ!ヘキサは、六で、目が六角形になるから!」


多少足りない説明を、自慢気に発表したリリ。


ミーはどんな反応がいいか迷い、えー!そうなんだー!とやっぱり驚いてみた。


そうなの!と大きく首肯したリリは、


「そしてさらに…………これ!」


と、びょん!とオレンジのテールを二本同時に伸ばした。


ミーはひゃっ、と素でびっくりして、わずかに後ずさる。


リリは腕を組み、その下でテールを腕のように組ませて胸を張る。


「これはテールって言ってね、いろいろ便利なんだよ!もう二つの手みたいな?」


と言いつつ、一本を伸ばしてミーの片手を掴み、握手するように上下に振った。


その感触はなんともいえないもので、さらさらしてるような、人肌に温かく、柔らかいのに硬い、という不思議な硬度だった。

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