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六角瞳  作者: 有寄之蟻
捕食編
80/114

・80・はっきりさせたいから

『……オレは、ミーが必要な事は教えてるよ…?』


囁くように紡がれた言葉に、ミーは大きく後ろめたさを感じた。


それはミーも分かっている。


そしてそれがミーの守るため、というのも。


しかし、それでも気になるのは仕方がない。


キムの言い様はあまりにも意味深で、忘れるには衝撃的な事が多いのだ。


ミーはそんな複雑な感情を押し込めて、ただ黙って頷く。


『……あいつが、ミーを狙ってるって事…忘れたの?』


今度は首を横に振って、忘れてないと否定する。


それだって、衝撃的でかつ理解不能な発言の一つだ。


リリと話した事で、やはりリリはキムの事を異性として狙ってたのではないか、とミーは思っている。


ミーを狙うという意味が全く分からないのだ。


しかも、キムはその意味を明かそうとはしない。


本当にそれは、ミーは知っている必要がないのだろうか?


そう反発のような、猜疑心のようなものを感じてしまうから、いっそリリの話を聞いてはっきりしたいのだ。


キムを信じているからこそ、疑ってしまうような要素をなくしてしまいたい。


それに加えて、リリに対する自分の気持ちの持ち様もはっきりせさたい、とミーは考えていた。


リリはヘキサアイズであり、キムが交流を禁止したからミーから積極的に関わる事はしていない。


しかし、実際彼女とは三回程しかまともな会話をしてない訳で、好きになるのはともかく、嫌う要素もないのだ。


性格は嫌いではないし、普通に仲良くする分にはミーにはなんの問題もない。


今夜聞く、リリの『隠し事』の内容次第では、キムも方針を変えてくれるのではないか、と期待を持っていた。


いざとなったら、私もテールでなんとか頑張るから、とミーが精一杯説得すると、大きくため息を吐いて、渋々キムは了承した。




ーーそして……いってらっしゃい、と送り出されてバイトを終えたものの。


質量さえ感じるキムの視線が痛い。


無言なのに、何か責められているように思えてくる。


いや、実際キムは責める気持ちを込めているかもしれない。


自分が一生懸命気を張ってミーを守ろうとしているのに、当の本人から危険に向かっていこうとしているのだ。


ミーは急激に申し訳なくなって、心中の呟きがコワイからごめんなさいに変わった。


無意識に服のすそをギュウっと握りしめていれば、頭上からはぁっと呆れたような息がもれる。


それにばっと顔を上げると、はっきりと不機嫌です、と表現するキムと目があった。

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