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六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
8/114

・8・二人目、女性

女性はじっと二人を見つめた後、ふっと視線を外して自身に繋がる管を抜いていった。


そして三つ編みもほどくと、バサバサとかきあげ、ふぅーと息をつく。


「――で?」


低めな声で、ただ一文字、女性は問いかけた。


青年とミーがそろってキョトンとすると、


「アンタ達、誰?」


何当たり前の事言わせてんだよ?という雰囲気で女性が二人を見据える。


ミーは思わず名前を告げ、青年も、


「……キム、だけど…」


と言った。


ミーはそこでやっと青年の名前を知る。


「で?」


続きを催促されるが、二人はまたキョトンとしてしまう。


「…だから、アンタ達はアイツの仲間なの?違うの?」


苛立ったように爪を噛んだ女性に睨まれ、ミーはそっと視線をそらした。


女性の言葉の意味がさっぱり分からず、なんの事だろう、と考え込む。


「……違うよ。……オレと、ミーは…被験者……」


青年――キムの声に顔を上げると、女性は聞いているのかいないのか、腰に巻かれた物のベルトを外していた。


「ほんっとに忌々しいっ。ぞわぞわして気持ち悪いし、テールも出せやしないし!」


千切るように外したそれを投げ捨て、ふん!と腰に手を当てる。


すると、女性の背中からぐんと紺色のテールが伸び、ばしっと床を叩いた。


ミーがビクビクしながら女性を見つめていれば、また手を引かれる。


キムを見上げると、ミーを見てそっと微笑み、小部屋の出入り口へと向かおうとした。


「ちょっと、どこ行こうとしてんのよ」


ミーがびくっと振り返ると、女性があぁん?といった雰囲気で睨みつけている。


さっと顔を戻して目をつぶった。


「……他の、被験者…を、解放するん……だけど」


キムが言い、


「ふーん?あっそ。じゃ、行きましょ」


どうでもよさそうな女性の返事とともに、ミーの横を気配が通りすぎ、手が引かれる。


ぱっと目を開けると、小部屋を出た女性が歩いていき、キムが微笑でミーを待っている。


ミーはなんとなく頷いて、足を動かした。

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