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六角瞳  作者: 有寄之蟻
捕食編
78/114

・78・気になる

リリはそこでふっと眉を落とし、窺うような顔をした。


「でも…なんか最近ミーちゃんとキムさん仲悪いって聞いて、っていうか遠くから見ててアタシも思って、それってアタシのこと紹介してくれてからだったから、ほら、恋人同士で『隠し事』が原因でケンカとかしちゃうから、アタシのせいかな……とか思って…」


暗い声音でばーっと話したリリは、その身まで丸くして落ち込んだ。


それに焦ったミーは、そ、そんなことないよ!?私たちケンカなんてしてないし、仲良いよ!なんて自分で恋人説を肯定するような事を言ってしまう。


リリは不安げに目を潤ませ、


「ほ、ほんとに?アタシ、彼氏じゃないって聞いて調子乗っちゃって、二人の仲壊しちゃったんじゃないか、って……」


ミーは大丈夫、大丈夫と繰り返し、小さくなってしまった背中を撫でる。


確かにキムは自分に何か隠しているが、それは必要な事だと思っている、と伝えれば、リリはやっと安心したように息を吐いた。


そして何か考えるように首を捻り、ん〜やらむ〜やら唸り始める。


その様子を黙って見守っていると、


「ん〜でもさー、やっぱり『隠し事』の中身、気にならない?」


こてんと反対に首を傾けて、リリがそう問いかける。


鮮やかな緑が、ミーの心を見透かすように見据えた。


ミーは唇をギュッと閉めて、思いが飛び出る事を阻止した。


気になるかならないかで言えば、当然気になるに決まっている。


気になりすぎて、キムに猛烈にイライラしたし、悩んだし、実際ケンカになりかけた。


しかし、リリが言う『隠し事』の内容がキムがヘキサである事なら、すでに知っているから別にいい。


けれどもし、それがミーが知りたい事であるなら……その誘惑に勝つ事はできないだろう。


ミーはしばし逡巡した後、……気になる、と呟いた。


その瞬間、リリはその大きな緑の瞳をニヤ〜と細めた。


リリらしからぬその表情に、ミーは一瞬気をとられる。


と、リリはミーの手を取り、ぶんぶんと振った。


二回目に会った時の握手並みに激しい。


「だよねだよね!気になるよね!アタシどうしても教えなくちゃ!って思って、っていうかアタシが言いたくて!あの、えっと、それで……」


始めの勢いはどこへやら、しりすぼみになったリリに、ミーは落ち着いて、慌てなくていいよ、と声をかける。


リリは何度か頷いて、息を整えた後、


「えっと、えっとー……そうだ!それで近づかないでって言われたけど話しかけて、それで、あの、時間、いつある、かな?」


おそらくリリはミーに話しかける前にその内容をシュミレーションしてきたのだろう。


しかしいざ話し始めると頭の中でぐちゃぐちゃになり、それがそのまま言葉になっているため、支離滅裂な文脈になっている。


話を整理すれば、二人が不仲な様子を見て、リリは自分のせいではないか、キムがしている『隠し事』のせいではないかと考えた。


キムにミーに近づくのをやめろと言われていたが、意を決してミーに話しかけ、状態を確認した。


そして、ミーが『隠し事』の内容を知りたがったら、後日に時間をとって教えようと考え、その約束を取り付けようとしている、という所だろうか。

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