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六角瞳  作者: 有寄之蟻
捕食編
77/114

・77・『隠し事』

リリはわずかに周囲を見渡した後、意を決したように話し出す。


「ーーあの、あのね、ミーちゃんに話したいことっていうのはね」


おずおずと進む口調に、ミーは我慢強く相槌を打つ。


「ミーちゃんはたぶん知らないと思うんだけど、えっとね、キム…さんのことなんだけど」


キム?と思わず小さく口に出す。


「キムさんってさ、ミーちゃんに隠し事してるでしょ……?アタシ、それ知ってるんだ」


ミーの内に、静かに衝撃が走った。


脳が急速に回転し始める。


前提として、リリはヘキサアイズ、という事がある。


そして、人間瞳時のミーは、キムでさえヘキサとは分からない。


リリは完全にミーを人間だと思っているはず。


それを頭の中で確認して、真っ先に思いつくキムの『隠し事』は、キムがヘキサアイズだという事だろうか。


もしミーが人間だったなら、確かにとんでもない隠し事だし、同じヘキサのリリがそれを知っているのは理解できる。


しかし、ミーはそれは違うかも、とすぐに否定した。


もしリリが言っている事がそれなら、リリも正体がバレてしまう可能性がある。


キムがヘキサで、なぜリリがそれを知っているのか、とミーなら絶対聞くからだ。


他の『隠し事』を考えてみる。


リリが知ってそうな事といえば、キムがリリに関わらないよう言い含めた件だろうか。


何をしたのか、言ったのか、リリはミーに近づいて来なくなった。


基本的にキムはミーを守るように行動するが、もしかするとその方法がミーに知られるとまずいものだった、とか?


それとも、最近キムと不仲と勘違いされる原因となった意味深な言葉の真意だったり。


ざっと一瞬で思考して、ミーはなんとか表情を取り繕った。


…えっと、なんでキムが『隠し事』してる事知ってるの?と聞いてみる。


ここはとりあえず驚いたフリをして、カマをかけ、リリの反応を様子見するべきだと咄嗟に判断した。


リリはなぜかぱっと明るい表情になって、


「ほら、この前アタシの事キムさんに紹介してくれたでしょ?その後、リリちゃんに近づかないで、って言われちゃって……いや〜想われてるな〜って思ったんだけど」


照れたように頬を赤らめる。


キムらしい率直すぎる言い様に、ミーは苦笑してしまう。


同時に、その想われてる(・・・・・)は誤解です、と内心で主張する事で恥ずかしさを必死にごまかした。


「実はキムさんとアタシってある共通点があってね、それでキムさんのこと気になってて、でもミーちゃんがいるから無理だって言われちゃって、アタシも諦めたんだけど……」


共通点、とはヘキサアイズである事だろう。


やはり、リリはヘキサの異性として、キムを狙っていたのだ。

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