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六角瞳  作者: 有寄之蟻
捕食編
66/114

・66・気が進まない

ミーの言葉に目を輝かせたリリに、ミーは引っ込みがつかなくなってしまった。


じゃあ、今日ほんとにお願いできるかなぁ…?と尋ねたリリに頷き、気づかれないようにため息をつく。


心中に不安が垂れ込む。


最近の悩みより、重いかもしれない。


キムが初めてミーの家に来る時以来の不安感だった。


なんとなく、キムがリリを気に入ってしまうのではないか、と考えてしまう。


そうなっても、キムはミーの安全のために送迎を続けるかもしれないが、彼女持ちの人に図々しく頼れる程ミーは図太くない。


放課後が待ち遠しくないなんて初めてだ、と思いながら、ミーは昼食を終えた。











そして時は無情にも流れ、今日の講義が終わる。


いつもなら真っ先にキムに連絡を入れるが、今日はリリと合流するため、彼女がいるはずの講義室に向かう。


ミーがいた講義室からそれほど離れてないそこに歩きながら、キムに、


【終わったよ】


と共に、今日合わせたい人がいる、と送る。


ほんの数秒で返ってきた返事は、


【わかった。すぐ行く】


といつも通りの簡潔なものだった。


それになぜかむっとする。


少しは動揺するべきじゃない?と。


もちろん、ミーはこれまでに何十人と紹介してきたし、キムはされてきたのだから、一種慣れがあるのだろう。


しかし、リリは今までの女子たちとはタイプが違う。


その事が、知らずミーの心を揺らしていた。


他にもっと、こう、誰?とか聞いてほしかった、と言いようのない苛立ちを抱く。


「……あ!ミーちゃん!」


スマホを睨みつけていれば、リリが手を振りつつやってきた。


「大丈夫?なんか機嫌悪いの?」


覗き込んできたリリになんでもないよ?と笑いながら、キム来るって、と伝える。


途端に顔を赤らめてソワソワしだすリリ。


二人は並んで正門へと向かった。











キムは珍しく、門の内側にもたれて待っていた。


ミーが人を紹介する時は、バイクを離れた所に置いて、門の所にいるようにしているようだった。


ミーはキムに手を振る。


それに気づいて振りかえしたキムは、門から体を離して、二人に近づいてきた。


不意に腕を握られ、びっくりして横を見ると、


「どど、どーしよ……!?ほんとにイケメンだ!こっち来るしー!ほんとに彼氏じゃないの!?」


顔を真っ赤にしたリリが、小声で言ってくる。


それに苦笑し、大丈夫、違うよ、と否定し、安心させていれば、とうとう目の前にキムが来た。

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