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六角瞳  作者: 有寄之蟻
捕食編
63/114

・63・邂逅

ぼんやりと考え込んでいたせいだろう。


どん、と鈍い音と共に、


「きゃあ!!!」


ミーは誰かに真正面からぶつかって尻もちをついた。


びっくりしながら前を見れば、同じ大学生だろう、華奢な身体に紺色のワンピースをまとい、ベージュのコートを着た女の子が座りこんでいる。


耳下ほどのアッシュブラウンの髪はふんわりとセットされていて、猫のような目は、カラコンなのか鮮やかな緑色。


彼女も予想外だったのか、ぽかんと口を開けてミーを見ていた。


彼女のらしき紺色のバッグからは、教科書やノート、ポーチやスマホが道に散乱している。


ミーは、ごごごめんなさい!!!と慌てて立ち上がり、散らばった物を集め始めた。


それに我に返ったのか、女の子も、


「ーーはっ!あ、こちらこそゴメンナサイ!あの、ありがとうございますっ」


二人してしゃがみこんで、なんとかバッグに収めた。


ミーは改めて頭を下げる。


考え事してて、前をちゃんと見てなかったのだ、と。


すると女の子も、


「いえいえ!私もおんなじです!ほんとにごめんね!荷物拾ってくれてありがと!」


わたわたと手を突き出して振りながら、謝る。


謝罪合戦を数秒したところで、お互いに頭を下げて別れた。


あと少しで門に着く、という所でスマホが鳴る。


【何かあった?】


一瞬、今のを見られていたのかとヒヤリとしたが、ミーは講義が終わった直後にキムに連絡している。


キムは本当にすぐに来るため、謝罪合戦のせいで遅くなってしまっただけだろう。


小走りで正門を抜け、道路でキムを探す。


「……ミー、こっち。……大丈夫?」


ちょっと前方にいたキムが手を振り、ミーはそこに駆け寄った。


そして、さっきの出来事を伝え、何かあったわけではないと説明する。


ちゃんと言わないと、キムはかなり心配した上に、気に病むという事が分かってきたためだ。


ただでさえ、ミーが『人間』のように見える事で、キムは色々と気を張っているのに、加えて心労をかけるような事はしたくない。


そう思う程度には、キムの事を大切だと思ってるんだよなぁ、とミーは自分で納得する。


先程の思考の続きに、ひとまずの答えを出して、ミーはうんと頷いた。

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