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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
55/114

・55・心配

「……お疲れ様」


バイトが終わり、連絡を入れるとキムはすぐに来た。


その表情はどこか翳っていて、ミーは溜まっていた心配が溢れそうになる。


気持ちを切り替えてバイトに勤しんだものの、当然のようにキムの事が気になっていた。


いつもは真面目なミーらしくなく、何度もスマホを確認するが、キムからの連絡はなくて。


やっと終業時間になり、真っ先に【終わったよ】と送ったのだ。


ここ数日の付き合いで、キムの微笑はほぼ癖のようなものだと理解している。


あの灰原ウォーの張り付いた笑顔とは全く異なるが、言ってしまえば無表情と一緒なのだ。


今だって相変わらずの微笑みを浮かべているが、ミーには悩みを持っている事が感じられる。


十中八九、バイト前の出来事関連に違いない。


あの男は一体誰で、何の目的があったのか。


気になって仕方なかったが、『……後で、ちゃんと話す…から』というキムの言葉を信じて、待っていた……のだが。


お疲れ様、と言われたミーよりキムの方が疲れているように見える。


ミーは、ありがとう、と言いながらキムに近づいた。


ん?と首を傾げるキムに構わず、その頬に手を伸ばす。


すでに午後10時を過ぎて、辺りは暗く、人間瞳のミーの目でははっきりとは分からないが、顔色が悪い気がした。


寒い外気にもかかわらず、キムの頬は温かい。


擦り寄るようにミーの手に顔を寄せたキムは、ホッとしたように笑みを深めた。


ミーはますます胸が重くなるのを感じたが、表情には出さず、じゃあ、家までお願いします!となるべく明るい声で言った。











家に着いて、キムは一度ミーの部屋に上がっていく。


朝と同様に、お礼のココアを手早く用意してキムに渡した。


ミーは荷物を片付け、見かけだけのコートをハンガーにかけると、キムの正面に座った。


ミーの部屋は、中央にローテーブルとしたにラグを敷いてあり、玄関から左にベッド、その奥にタンス、右にミニキッチン、ユニットバス、小さい物置があり、正面奥にガラス戸とベランダ、ベランダに洗濯機、という配置をしている。


今まではラグに直接正座して、勉強・食事などはとっていたが、キムが来るようになってから、新たに大きめのクッションを二つ買った。


長身のキムは、正座するにもあぐらにしても窮屈そうに見えて、かなり申し訳なくなったからだった。

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