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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
54/114

・54・人間…?

それにほんのり驚いて、あの、と口を開く。


と、すっと向けられた鋭い目が思いのほか怖くて、目線をずらしてしまったが、私に聞きたい事って何でしょうか……、と勇気を振り絞って尋ねた。


ウォーは嗤い顔をまたのっぺりした笑顔に戻して、僅かに首を傾げる。


「ですから、貴女がどこまでをご存知かどうか、ですよ。人間の(・・・)貴女が(・・・)











…………え?












唖然として目を丸くしたミー。


あり得ない言葉を聞いた気がする。


今、この男性はミーの事をなんと言った?


人間の(・・・)貴女が(・・・)


人間の(・・・)


人間(・・)


人間……?


自分が?


ミーは呆然と瞬きを繰り返しながら、自問自答した。


自分は人間か?いや違う。


数日前、あの地下施設で確かに自分は変わってしまった。


テールもあるし、目も光る。


返ってきてから、何の抵抗もなく日常には戻れたけれど、家の中では割とテールも暗視能力も活用している。


確かに本能とやらはないみたいで、未だ自分の特殊能力も知らないが、ヘキサアイズのはず……だ。


そう、そのはずなのだ。


……しかし、今ウォーは、はっきりとミーを見つめて、はっきりと『人間』と言った。


これから考えられる事は?


半ば停止した頭で、思考できたのはそこまでだった。


唐突に鳴ったガタッという大きな音に、ミーは我に返る。


するとなぜか自分は立ち上がっており、片手を掴むキムも同じだ。


どうやら勢いよく立ち上がってせいで、椅子が鳴ったのだろう。


と、現実逃避のように考えていれば、キムに、


「……ミー、バイトの時間。……遅れる、よ」


その言葉に慌ててスマホを見れば、確かに後数分に迫っていた。


ヤバッ!と思わず叫んでしまい、店内にミーの声が響く。


それに身を竦めてすみません、と頭を下げた。


「おや、もうそんな時間ですか?残念です。お話しはまた今度、ちゃんとお時間がある時にしましょうか」


そう言って立ち上がろうとしたウォーを、キムが手で制する。


「……オレ、にも話…があるん、でしょ……?」


トーンの低いキムの声にミーはびっくりする。


しかし、ミーに向かっては、優しい声音で、


「……行っておいで。……後で、ちゃんと話す…から」


その差に戸惑いながらも、ミーはウォーにそれでは!と礼をして、キムには終わったら連絡するね!と言って、慌ててカフェを飛び出た。


ここからだと、バイト先へは全力で走ればなんとか遅刻しないだろう。


キムの様子が気がかりだし、ウォーの質問も気になるけど、今はとにかくバイトだ、とミーは気持ちを切り替えて走り始めた。

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