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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
50/114

・50・コワイ

自分の一日の行動を把握されている。


かつ、キムの存在、フルネームを知っている。


就寝時間は、おそらくアパートの外から電気が消える時間を見ていたのではないだろうか。


よくテレビでみる刑事ドラマでは、確かに容疑者の行動パターンは徹底的に調べられて、ぴっちり時間まで計られている。


しかし、ミーがそれをされる理由は何か。


さっきうまく考えられなかった疑問がまた浮かんでくる。


つまり、この男がミーにどんな理由で声をかけたのか。


聞きたい事の内容は何か。


思わず一歩引いたミーに、ウォーは僅かに首を傾ける。


「藍塚さんの大学からアルバイト先まではおよそ15分の道のりですが、貴女はいつも勤務時間まで余裕を持って10分早く大学を出られますよね?ですので、少々お話しする時間はあると思ったのですが」


ミーの怯えに気がついていないのが、変化のないトーンで話すウォーに、言いようのない不気味さを感じ始める。


そ、それは……、と口ごもりながら、ミーは焦りに焦っていた。


このまま男のいうことをきいてはいけないと思いつつ、しかし、どうすればよいのか分からない。


そこでハッとして、その、何を聞きたいんでしょうか……!?と言ってみる。


ウォーは一瞬目だけで周りを見た後、


「ここでは落ち着かないので、どこか座れる場所に行きましょう」


さっと背中を見せて歩き出した。


え!?となりながらも慌てて追いかけながら、内心はヤバイヤバイヤバイー!!!と叫ぶ。


キムに強く注意されたのだ。


もし接触してくる人物がいたら、その人物と二人っきりになってはいけない、と。


ついでに言えば、すぐに自分を呼べ、最悪連絡をしてほしいと言われていた事も思い出し、わたわたとスマホを取り出す。


大股に進む男の背中をチラ見しつつ、ミーは慎重にキムにLINEを飛ばした。


今キムは確か仕事中のはずだが、お願い気づいて…!とミーは切実に祈った。


すると祈りは通じたのか、数秒で返信が来た。


【場所は?】


簡潔な質問に、現在いる通りを書き込み、すぐに送る。


その間にもウォーは足を進め、一つのカフェに近づいて行く。


ミーはまずいっとなり、待って下さい!とウォーを止めた。


くるりと振り向いたウォーはどうしましたか?と尋ねてくる。


ミーは一度スマホの画面を確認してから、あの、キムが来るまで待ってもらえませんか?と聞いた。


【今行く】


その文に驚くも、一人ではあまりにも心細いと思ったミーは、それに縋る事にしたのだ。

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