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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
48/114

・48・想定外の誤解

誘拐が知られてなかったことで、それ自体の影響はなかったが、週明けに突然男に送り迎えされるようになれば、それは注目を浴びるだろう。


当然のように彼氏なのか、いつからだ、どんな人なの、今度紹介して、などと次々言われ、ミーは慄いた。


キムは端正な顔をした、高身長のイケメンだという事を忘れていたのだ。


その上、常に美しい微笑を浮かべ、ミーに触れつつ会話する姿を目撃されれば、勘違いされないほうがおかしい。


もちろんミーはできる限り否定した。


キムはあくまで知り合いで、スキンシップが激しいだけ。


とある事情で送り迎えされているが、決して誓って恋愛関係ではない、と。


しかし、ミーの抵抗も虚しく、友人たちには恋人と認識されてしまっている。


しかも、それを増強するように、一度友人の一人が、キムにミーとの関係を聞いた事があり、なんとキムは黙って微笑んだという。


なんで否定してくれないの!?とミーは愕然としたが、キムに訴える勇気がなかった。


キムがこれを提案した理由が理由だったし、あくまで彼は善意でしてくれている。


変に否定する方が怪しいのかも、とミーは半分諦めた気持ちで、もうその件についてはコメントしない事に決めた。


そんな訳で、キムとの関係での誤解はあるものの、生活自体は普通だった。


いつものように講義をこなし、ミーは帰宅しようとした。


キムにも生活と仕事があり、ミーのそばにいつもいるわけにはいかない。


キムは初め、ミーの移動を全て送ると主張していたのだが、ミーが最低限にさせたため、大学からの帰りは一人、徒歩だ。


といってもまだ午後半ばで、周囲も明るく、女子一人で歩いていても危険はない。


ミーも一応、アパート近くまでは人通りの多い大通りを通る事に決めているため、全く警戒はしていなかった。









――その時だった。


突然、前方に人が立ちはだかる。


ミーは慌てて足を止め、横に迂回しようとした。


藍塚(あいづか)ミーさんですよね」


聞こえた言葉に、え?と顔を上げる。


見れば、ミーより頭二つは大きい細い黒フレームの眼鏡をかけた男が、にっこりとした表情で見下ろしていた。


知らない男だ。


身長だけでなく、体格もガッチリしている身体に紺色のスーツをまとい、その上に黒いコートを着ている。


黒い髪を後ろに撫でつけているせいか大人びて見えるが、まだ30代にはいってなさそうな男だった。

※2016年2月21日

眼鏡描写を追加。

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