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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
46/114

・46・あれからの日々

ミー達が無事帰宅を果たしてから数日――――ミーは多少以前と変わったものの、日常を過ごしていた。


講義がある日は大学に通い、その後は夜までバイト、家に帰れば講義内容の復習や、諸々の家事を行って一日が終わる。


ミーが誘拐されたのが金曜日で、その後大学の講義はなく、大学の友人とはなんのトラブルはなかった事と、バイトは無断欠勤になってしまったが、風邪になった事にした。


つまり、特に影響はなかったのだ。


ヘキサアイズになった事で変わったのは、多少体力が増えた事ぐらいと、テールで今まで動かせなかった重いものを簡単に運んだり、切れなかったものが切れるようになったぐらいだろうか。


視力や暗視能力、それにテールも人目のあるところでは使えないため、家の中に限定するとそのくらいになる。


外では一切使用しなかったため、ミーの生活は誘拐される前とほとんど変わらなかった。


家に帰った時あんなに不安を覚えたのに、割と普通に日常に戻れた自分に、ミーも驚いている。


一つだけ今までと異なる部分はあるし、それについては友人達やバイト先の同僚にも色々と詮索はされるが、それは置いといて。


キム以外の四人とは、そこそこに連絡を取り合っている。


スズとユンは、やはり親との関係が難しいようだった。


一切を覚えていないと言い張る二人に、当然のように呼ばれた警察の担当者も困惑しているという。


スズはそれがとても辛いようで、家の近いヒロがこっそりと慰めに行っているらしい。


そのヒロは、仕事先には急な不幸で実家に帰っていた、と説明したと聞いた。


マンションの住人にも、仕事帰りに慌てて行ったものだから、と説明してなんとか納得してもらったとか。


オルは勤め先に、適当な説明をしたという。


ヒロよりも長い期間、少なくとも十日以上の無断欠勤をどういう理由にしたのだろう、とミーは思ったが、オルには笑ってはぐらかされてしまった。


何か聞いてはいけない事情のような物を感じて、それ以上の追求はできなかったが。









ミーは朝食を済ませ、待ち人が来るまで読書をする。


ベッドに座り数分もした頃、外でエンジン音が近づいてきた。


そして、すぐ後にミーの部屋のインターフォンが鳴る。


はーい、と返事して扉を開ければ、


「……おはよう」


にっこりと儚げな笑みをたたえたキムが立っている。


以前の日常と決定的に変わった事が一つ。


ミーを迎えに、毎日家にキムが来るようになった。

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