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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
45/114

・45・不法侵入

暗い思考に沈みそうになったが、ミーは首を振ってやめた。


とりあえず、と友人に連絡をとり、何か大学で知らせがあったかを確認する。


特にないよ、と返信をもらい、ミーはシャワーを浴びる事にした。


一通りさっぱりした所で、ぐぅ〜っと腹がなり、そういえば何も食べてなかったな、と思い出す。


いつもと違う非常事態で、空腹を感じる暇もなかったからだろう。


冷蔵庫を漁って適当にモヤシ炒めを作り、冷凍していたご飯を解凍して、モサモサと食べる。


草食動物の気分だった。


食べ終わり、食器と調理器具を流しで水につけ、ミーはベッドに寝っ転がった。


なんとなしにぼーっとする。


すごく疲れている、と思った。


そしてそのまま意識は薄くなり、ミーはすっと眠りに落ちた。











温かい温度を感じた。


優しい手つきで、誰かが頭を撫でている。


それが心地よくて、ミーはふぅーっと息を吐いた。


懐かしい感覚だ。


こんな事をしてもらったのは、母が生きていた小学生の頃くらいではなかっただろうか。


ミーは嬉しくなって、僅かに微笑む。


「…おかあ……さ、ん」


無意識に、そんな言葉がこぼれた。


クスリ、と誰かが笑った気配がした。


ん?とミーは違和感に気づく。


あれ、これって夢…だよね?、と。


え…?ちょっと待って、だって私の部屋には私しかいないはずで……でも、誰かが頭撫でてる…よ、ね?


だんだんと意識ははっきりと浮上し、ミーは薄っすらと目を開けた。


そして見えた、暗闇に光る紫に。






………………。






ミーは一瞬で全てを理解して、硬直した。


彼は不思議そうに首を傾げ、ミーを見下ろしている。


頭を撫でる手は、止まる気配はない。


「……ミー、起きた?」


やがてそう聞いたキムの言葉に、ミーはまた眠りに戻りたくなった。




ーーそう、そこにいたのはキムだった。




ミーの脳内を瞬時に巡ったのは、ユンを送った後キムは宣言通りミーの家に来たのだろう。


しかし眠ってしまっていたミーは返事をせず、キムはテールを使って入った。


するとミーはすやすやと眠っており、キムは善意でミーが起きるのを待つ事にしたのだろう、という推測だ。


そしてその推測は、ほぼ100%間違ってないだろう、という確信まであった。


だから固まったのだ。


キムが来る事忘れてた!なんで私寝ちゃったんだよー!!!、とそんな自分を猛烈に叱り飛ばしながら。

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