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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
43/114

・43・二手に分かれて

キムは着替えていた。


Tシャツにジャケットを羽織り、ジーパンにスニーカーとラフな格好だ。


紺色のボディバッグを背負い、鍵を閉めて、……お待たせしました、と詫びた。


スマホで四人は写真を撮り、キムはそれをスズとヒロに送信する。


そしてキムは三人をアパートから少し離れた月極駐車場に案内して、


「……オレ、バイク持っ…てる、から……ユンを、送って…いこうと、思うん…だけど」


そう提案した。


…意外すぎる、とボソリとミーは呟く。


キムはよくわからい人、だったが、わりと押しが強くてアクティブな人かもしれない、と考えを改めてみる必要がありそうだった。


どうしますか?とオルが尋ねると、いや、お願いしたいですけど…と何か躊躇った様子を見せる。


ちらちらとミーを見やり、ミーがなんだろうと首を傾げると、


「……君を…送った後、でも……行ける、し」


キムがそう言えば、じゃお願いします!とユンは頷いた。


ミーは沈黙したまま、そっと目を逸らした。


「で、では、ミーさんはぼくが送る、という事でいいですか?」


顔を覗き込んできたオルに後ずさりつつ、大丈夫です、と返事をし、ここで四人は二手に別れる事に決まった。


キムは駐車場に入り、一台の小型のバイクを引きずってくる。


座席の下からヘルメットを出し、片方をユンに渡して、自身も装着する。


二人でバイクに跨った所で、オルに向かって、


「……ミー、をお願い…します、ね」


と言い、ミーには、


「……後で行くから…待ってて…」


真剣な瞳で伝えると、キムはバイクを発進させた。


走り去っていく背中を眺めながら、ミーはどうしよう…、という気持ちでいっぱいだった。


思わず遠い目をしていれば、ポンと優しく肩を叩かれ、


「……じゃ、ぼくらも行きましょうか」


哀れみのこもった視線でオルにそう言われ、力なく頷く。


キムの家からミーの家までは、一度大通りに出て、まっすぐと一度左に曲がり、次に右に曲がってすぐ裏通りの道筋だ。


それをオルに伝え、二人は歩き出した。


足を進めつつ、さっき道順を考えた事で、キムの家が割と近い事に気づいたミー。


家に来ると言っていたが、ユンを送ってからだといつ頃くらいになるのだろうか。


身の危険、という意味では全く心配はしてないのだが、このわき上がる不安の正体は一体何なのだろう。


知らず俯き、眉根を寄せていた。

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