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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
42/114

・42・違うと思う。

ミーは知らず、体から力を抜いた。


そして、そっと床に座り込む。


「さすがに疲れましたね」


オルが気遣うように言う。


俺も疲れたっ、とユンもその場にあぐらをかき、くわっとあくびをする。


壁に体を預けミーはぼんやりと前方を眺めた。


アパートの前に車が二台すれ違える程度の道路があり、その向こう側は一戸建て住宅が並んでいる。


あまり人通りはなく、車の音も聞こえない。


まだ明るい陽がさしているが、もうすぐ午後も終わるのではないだろうか。


大通りを歩いている時、当たり前のようにたくさんの人々がいたが、ミー達はなんとなく視線を集めていた事を思い出す。


それをなんでだろとぼぉっと考え、服装のせいだろうか、と思いついた。


年齢も性別もバラバラな男女が皆同じ格好をしていたら、何かの衣装かコスプレかと思われたのではないかと。


他には何があるかな、と暇つぶしに考えていれば、


「……ミーさん」


とオルに呼ばれた。


なんですか?と聞けば、泣きそうな顔をきりっとさせて、


「さっきの事なんですが…本当に大丈夫なんですか?」


と真剣な声で尋ねてくる。


とっさに思いつかず、さっきの事とは?と聞き返せば、ミーの家にキムが行く事だ、と説明される。


あー、と思い出し、やっぱりまずいですかねぇ、と気弱に呟いた。


「まずいと言いますか、その、ミーさんは嫌ではないんですか?」


その問いをミーは否定する。


すると、危機感持った方がいいんじゃないすか?とユンが訝しげな顔で言う。


ミーは、んー…、と首を捻った。


話が食い違っている、と感じる。


キムの望んでいる事は、オルとユンが考えている可能性とは全く違うだろう、とミーはなぜか確信していた。


キムがミーの嫌がる事、危害を加える事は決してないと、ミーははっきりと主張できる。


その根拠はないが。


今更ながら、キムに理由を聞いていないなと気づく。


じゃ、本人に聞いてみます、と言えば、


「……いえ、あなたがいいなら、止める権利なんてぼくにはないんですけど、その、一応確認してください、はい」


と弱々しくオルは答えた。


ユンは、ミーさんって危なっかしいってよく言われません?と呟き、返答は期待してなかったのか、ミーから視線を外して反対を向いた。


キムが出てきたのはそれから少ししてからだった。

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