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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
41/114

・41・キム、帰宅

…あの、焦りすぎてもいい事ないですよ、と遠慮がちにユンが言う。


キムは僅かに首肯するだけで、口を開かなかった。


四人は気まずく黙り込む。


妙な空気にしちゃったな、とミーは内心後悔する。


そしておずおずと、キムが一度家に帰ってからなら構わない、と口早に言った。


その瞬間ミーは頬を両手で挟まれ、キムに真正面から見つめられる。


「……それ、絶対?」


真顔のキムの威力にミーは硬直しながも、なんとか頷く。


「……本当に?」


念を押され、コクコクと懸命に首肯して、やっと顔が解放された。


そして手は再び繋がれ、心なしウキウキとしているキムは足を進める。


後ろで慌てて二人がついてくる気配を感じながらも、ミーはやっぱり早まったかも……、と冷や汗を流していた。


キムがここまで表情を変える理由がミーには分からない。


自身は大して気にしていないのだが、オルとユンの様子を見るに、おかしいよなぁ、と薄々感じている。


しかし、恐怖感や嫌悪感は全くないのだ。


断る理由も特になかった。


……が、やっぱりやっぱり、大丈夫かなぁ、と何がとは言えないが不安になった。


キムは口調とは異なり、かなり俊敏に行動する。


身長も高めなため、歩幅も大きく、歩調の早いキムにミーは小走りで並ぶ。


そしてたどり着いたのは、よくある二階建てのアパート。


左右対象に三部屋ずつ並び、一つの階に六部屋ある。


アパートの正面右端に階段があり、キムの部屋は階段を登って二番目にあった。


当然のように鍵がかかっており、どうやって開けるのだろうと見ていれば、キムはミーを自身の横に立たせ、オルとユンにも囲むように立ってもらう。


と、扉に背中を向け、シャツをスラックスから僅かに出すと、そっとテールを出した。


首を後ろに曲げ鍵穴を確認しつつ、テールの先端を変形させながら鍵穴に入れ、僅かにガチャガチャさせた後、カチャリと開錠する音が鳴る。


なるほど、テールはこうゆう使い方もできるんだ!とミーは静かに感動した。


扉を開いたキムは、三人に少し待つよう言い、さっと部屋に入っていった。

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