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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
40/114

・40・不可解

……え。次ってキムの家!?となぜかびっくりする。


ばっとキムを見上げて、今度はギョッとした。


微笑みを絶やさないキムが、明らかに不機嫌です、という表情をしていたのだ。


美人が怒ると迫力は倍増しするとどこかで聞いた事があるなぁ、とミーが現実逃避しかける程度にそれは怖かった。


勢いよく上げた頭を今度はゆっくりと下ろそうとしたところで、


「……どうしたの」


柔らかいキムの言葉がかかる。


ギギギとぎこちなく視線を上げると、さっきの不機嫌顔はどこへやら、いつもの優しげな微笑をたたえたキムで、ミーはきょとんとしてしまった。


あれ?さっきまですっごい顔してたのに…、と瞬きながら、ポロッと言葉が零れる。


キムは僅かに首を傾け、ミーから目を逸らし、そして戻すと、


「……ミーの、家に……行ってもいい…?」


真剣な声音でそう聞いてきた。


唐突な内容に、キムの質問っていつもいきなりだなぁ、と頭の片隅で思う。


美しすぎて直視できなかったため、とりあえず少し目線をずらし、ミーは考える。


といっても、実は答えはすでに出ていた。


別にいいよ?くらいに軽くそう思ったのだが、はて、そう簡単に応えていいのだろうか。


ちょっと考えて、えっと…いつ来るの?と尋ねてみた。


「今日」


キムらしからぬ早さで返答され、もう驚きを通り越して冷静になる。


というか困惑し、ミーは助けを求めるように後ろを振り返った。


「…どうしたんですか?」


とっさに見つめたオルが、あの泣きそうな笑みで尋ねてくれた。


握られていたキムの手に力がこもり、わずかに痛みを感じる。


ミーがボソボソと説明すると、オルは眉を寄せ、


「それは…キムくん、ちょっと性急じゃないですかね」


言い聞かせるような言葉に、キムは何も答えない。


ミーがそっとキムを見れば、真剣な顔でミーを凝視していた。


猛烈に恥ずかしくなり、硬直するミー。


キムの手にさらに力が入り、さすがに耐えられず、痛っ、と声にでる。


すると、はっとしたようにキムが手を離し、ごめん……と小さく謝った。

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