・4・拘束された人々
今来た三度目の曲がり角の奥の扉から、手始めに穴をあける。
ガン!ガン!と五回ほどすれば、ミーくらいは楽にくぐれる穴になる。
触手は全体的に自由に形状変化できるようで、先っぽをミーの頭くらいの大きさにすれば、あっという間に大穴ができるのだ。
部屋に入ると、そこはかなり広く、奥に広がっているようだ。
そこでミーはついに、自分以外の人を見つけた。
しかも何人もいる。
部屋はガラスで何個か分かれており、そのガラスの小部屋内に人が拘束されていたのだ。
皆壁に両手枷で吊るされ、目隠しをされている。
腰に何かが巻かれており、両足枷が床に繋がっている。
服は手術を受ける患者のようなもので、複数の管が伸び、小部屋の隅にある機械へ接続されていた。
しかし、それら機械のモニターは黒く、ここもやはり電力供給は途絶えているようだ。
ガラスはかなり防音がきくのか、ミーが扉を破壊する際、大きな音が響いていたのだが、彼らは全く身動きしない。
あの拘束の様子から、もしかして耳栓までされてるのかも、とミーは思った。
一番近いガラスの小部屋には、おそらく青年が拘束されていた。
髪は癖があって短く、身長はミーより高い。
体格も骨っぽく、男だと思われた。
ミーは触手を操作して、ガラスを破壊する。
扉の素材より脆かったのか、ガシャァァァン!と小部屋全体にヒビが走り、一度で全壊した。
ガラスが降り注ぎ、ミーは慌てて逃げる。
それは青年にも同様に降ったのだが、ミーはそこまで考えがいかなかった。