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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
39/114

・39・印象

「……ふーん」


自分がした問いにもかかわらず、どこか興味なさそうにキムは頷く。


え?なんでそんな事聞いたの?とミーが尋ねれば、ほんのりと微笑を戻し、


「……なんで、もないよ…」


と首を振った。


なんなんだろう…と不思議に思いつつ、ミーは追求はしなかった。


ミーは前方の二人に意識を向ける。


オルとユンは一人分の距離を開けて並び、会話なくただ歩いている。


オルとユンの事も、知っている事は他の三人とさして変わらない。


下の名前と年齢、後はオルなら、ちょっと怖い所があるとか、ユンなら結構物怖じしない所とか、スズを気遣うような部分がある事ぐらいだろうか。


オルのあの別人のような表情を思い出してしまい、ミーはちょっと怖くなる。


人は見かけによらないと言うが、あれはさすがに違いすぎる、とミーは思う。


ヒロもミーが初めに受けた印象とはだいぶ異なる人物だったが、オルは……と考えて、そういえばオルは始めから印象を裏切っていたな、と思い直す。


身長はキムより高いし、体つきも細くはなく威圧感すらありそうだが、常に情けなく下がった目と丁寧な言葉遣いのせいか、気弱な印象すら持った。


しかし、その見かけによらず気の強いヒロにもしっかりと意見し、さらには気がつけば皆を先導するなど、思えば見かけの情けなさを裏切りまくっている。


ミーの中の印象は完全に、優しくて頼りになる人、になっていた。


そんなところにあの階段での変貌が入り、優しくて頼りになるけどちょっと怖い人、に改変された。


オルの背中を見ながら漫然と考えていたその時、ふっとオルが振り返ったため、ミーは一瞬明らかにビクッとしてしまった。


その様子にオルも少し驚いたように目を丸くしたが、キムに向かって、


「次はキムくんのお家に向かうので、道案内をしてほしいんですが…」


と話した。


キムは了承し、なぜかミーの手を引いて先に歩き出した。


さすがにミーも何か変だな、と思いつつも、されるがままにキムの隣を歩く。


入れかわるように通り過ぎたユンは不可解そうに顔をしかめていて、やっぱりこれって変だよねぇ?と心中ユンに呼びかける。


しかし、疑問に思いながらも、キムに尋ねる程でもなかったミーは、まぁいっか、と思ったところでハッとした。

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