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六角瞳  作者: 有寄之蟻
帰宅編
32/114

・32・偶然…?

「面白い偶然もあるものね」


とヒロが肩をすくめて言う。


ミーも凄いな、なんてびっくりしていた。


「ひとまずの目的はこの県を出る事でしょうか。乗り物には乗れませんから徒歩になりますが、結構な距離があるようです。皆さんいけますか?」


その言葉にミーとユンはげんなりとするが、反対しても他に方法はないため、渋々ながらも歩み続ける。


ミーの横には、やっぱり当たり前のようにキムが並ぶ。


そのキムは何か考えているのか、微笑はあるもののどこか固く、視線は地面を向いている。


ミーはそんな彼をなんとなしに見つめていた。


と、不意にすっと横目で視線が合い、なんとなく慌てて逸らす。


「……ミーは、さ…」


キムの言葉口に、ん?と顔を向ければ、


「……本当に、偶然…だと思う…?」


問いかけの意味が分からず尋ね返す。


「……オレたち…が、同じ県…から誘拐、されたこと」


またふっと視線を下に落としたキムの言葉に、ミーは考える。


同じ県内から、それぞれ性別も年齢も別々の男女六人が、同じ場所に誘拐されたのが、偶然かどうか?


本当に、と言われても、ミーに分かるわけはない。


確かに驚くべき偶然だが、そう言われると、何か理由があるのかも、とも思えてくる。


しかし、ではその理由は何か?と問いかけられてもやはり思いつく事などない。


誘拐した男は研究のためにミー達を攫った事を考えれば、同じ地域の人間を平均的に調べたかったのかもしれない。


けれど、それなら同じ市内から誘拐した方がいいのではないか?


…いや、そもそもなぜあの研究施設のあるこの県、市内から誘拐しなかったのだろうか。


わざわざ隣の県から攫ってきた理由も不明だ。


色々と推測できる事はあったが、結局、分からない、とミーは答えた。


……そっか、と呟いて、キムは黙り込んだ。


それから会話はなく、ミーは黙々と歩き続けた。


だんだんと日が登り、辺りが完全に明るくなった頃、六人はやっとこさ彼らの住む県までの境に到着した。

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