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六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
29/114

・29・外に出るために

「…で、では、今度こそ、服の事について考えましょうか」


仕切り直すように明るく告げたオルの言葉に、ミーは思考を切りかえる。


「気づいてるかもしれませんが、ぼくらは気温の変化にあまり影響を受けないようです。

ほとんど寒くないですよね?ですから、外に出て不自然でない程度の服があれば、それを拝借してさっさとここから出ましょう」


その言葉に皆が頷いたのを確認して、オルは言葉を続ける。


「問題は、どこにその服があるかですが……どうしましょうか」


困ったように、ふにゃりと情けなく首を傾げた。


ミーは服と考えて、地下で見た洗濯室と呼べる部屋を思い浮かべていた。


あそこには患者服以外に男が着ていたような白衣もあったし、下のズボンもあったかもしれない。


白衣で街中はかなり目立つかもしれないが、今の病院服っぽいものよりはましだろう。


それをオルに伝えようとした時、おずおずとスズが声をあげた。


彼女は、階段を見つけた時に入った部屋が、誰かが住んでいる感じがしたと話し、服があるかもしれない、と言う。


ユンもスズと顔を見合わせて頷いた。


それを聞いて、オルはその部屋の探索を提案する。


全員で行くのではなく、ここに誰か残って見張りをして方がいいだろうとも言い、それはオルとヒロに決まる。


そこでミーは洗濯室の事も話し、それなら、と洗濯室はミーとキム、もう一つの部屋にユンとスズが行く事になった。


階段を下り、廊下に出た後でユン・スズと別れ、ミーとキムは洗濯室へと向かう。


二人に会話はなく、毎度のようにキムはミーの手を引いていた。


ミーもその事にはもはやなんの疑問も持たず、その興味はキム自身に向いていた。


彼女より頭一つ分背が高く、端整な顔に、常に微笑をたたえた青年。


ミーをさりげなく導き、他の皆が狼狽えるような時にも平然としている。


顔の造作のだけでない時折見せる美しさと、クエン酸によって起こった衝撃の出来事から、キムの事が気になっていた。


数歩先に行く彼の横顔をじっと見つめていると、目的の部屋につく。


中に入るとキムは手を離し、ぐるりと室内を見回した。


部屋の中は当然のようにさっきミー達と来た時と変わらない。


が、ミーはさっきと違って目的を持って行動する。


とりあえず干されている白衣を三着程とってみる。


キムを見ると、どこから見つけたのか、黒いスラックスを二つ持っていた。

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