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六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
25/114

・25・日常への出口

廊下はフローリングになっていて、前方に一つだけ、よく見かけるドアノブのついた木製の扉があった。


今更ながら、ミーは自分達の服装が気になった。


着ているのは薄い、薄緑の膝上までのワンピースのようなものだけ。


下着は着ているが、裸足だ。


ミーが誘拐されてからどれだけ時間が経ったのか分からないが、少なくとも季節は秋だったはずだ。


こんな格好ではかなり肌寒いはずなのだが、正直そんなに寒さは感じない。


そう言えばさっきの地下も床はツルツルしたものだったが、実はかなり冷たかったのではないだろうか。


ヘキサになった事で、寒暖に強くなったのかもしれない、とミーは考えた。


そして、大切な事に思い至った。


この服のままじゃ、外にでれない…!、と。


勢いのまま、あ!と声を上げたミーに、前方を歩いていたオル、ヒロ、キムが振り返った。


ミーが事を話すと、


「確かに、それは私も考えてたのよ」


とヒロが同意する。


ふむ、とオルは思案し、


「…その問題は一度保留にしませんか?とりあえず外への出口を確実に見つけた後、考えましょう」


オルはすっかりリーダーの役割を果たし、皆その決定に従った。


扉は鍵がかかっていたが、オルがまた小さな穴を開けて様子を伺い、危険無しと判断してヒロがくぐり抜ける穴をあける。


その先も廊下になっていたが、扉のすぐ横には、窓があった。


そう、()だ。


ミーとユンは思わず窓に駆け寄った。


外は暗く、夜のようだったが、木々があり、家々が連なる景色が見えた。




外だ!!




叫んだユンに、同じように喜びつつシー!、と静かにさせる。


オルも窓のそばによって、外を見渡した。


そしてテールで窓を窓枠ギリギリに切り取り、ガラスをそっと床に置く。


そして外に頭を出してさらに見渡し、


「ここは一階みたいですね。人影はありません。時間は…たぶん夜明け前だと思います。ここから出れますよ!」


わずかに熱を帯びた声に、ミーも嬉しくなる。


やっとだ。


誘拐されてから、色々と非日常的な出来事に見舞われたが、やっと日常に帰る事ができるのだ。

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