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六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
24/114

・24・動揺

オルが垣間見せた冷たい姿は、一瞬で消えた。


……だから、それでいいですか?と弱々しく尋ねたオルに、ヒロは若干狼狽えながら頷いていた。


小指程に尖らせたテールを扉の下方に突き刺し、オルはその穴を覗く。


ミーは今自分が見たモノが信じられず、動揺していた。


あのオルが全く別人に見えた。


一瞬の出来事だったのに、目に焼きついて心を大きく揺らしている。


呆然としゃがみ込むオルを見つめていれば、そっと頬に何かが触れた。


我に帰って横を見ると、笑みのない真剣な顔でキムがミーを見つめている。


ミーの頬を優しく撫で、僅かに首を傾げる。


言葉もなく、その美しい紫に見つめられ、ミーは目を背けようとした。


しかし、もう片方の手で顔を挟まれ、目線を固定される。


恥ずかしくて、な、何!?とさっきとは全く異なる動揺に声が上擦った。


キムは少しミーを凝視した後、


「……別に?」


ふっと微笑んで手をミーの顔を解放する。


その際にさらりと頬を撫でられ、ミーは身体の奥がくすぐったい感覚が耐えられずに、スズの背中に駆け寄った。


今の何今の何今の何ー!!!と心中叫ぶ。


どうしたんですか?と不思議そうにするスズに抱きついて、なんでもない!と首を振った。


しばし深呼吸して自分を落ち着けていると、


「……よし。外は廊下になっているようです。人影はありませんし、音も聞こえません。とりあえず危険はないと判断して、外に出ましょう」


オルの声にスズから離れ、振り返る。


と、すでにヒロがテールをふるって、扉がくり抜かれていた。


毎度毎度の早業だ。


ミーは密かに感心しつつ、扉の外へと足を踏み出した。

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