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六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
22/114

・22・あと少し※図有り

「…………ユンくん、他にはどんなレポートがありましたか?」


ぽつりと問うたオルの声に、ミーはユンを見る。


それが一番上にあったから、他はわかんないです、とユンは答えた。


「そっか。じゃあ、そこにある実験レポートはみんな持っていきましょう。何か重要な事があると思いますし」


ユンは頷いてレポートを取りに行く。


ミーはキムに近づき、またその右手をつかまえた。


細く長い指に、滑らかな肌の綺麗な手だ。


手の平をなぞっても、ただあるべき皺があるだけで、先ほどの腐敗が幻だったかのように思ってしまう。


「……ミー、大丈夫…だよ……」


ぽんと頭を撫でられてキムを見上げれば、優しく微笑している。


たまに現れるその表情の美しさに猛烈に恥ずかしくなり、ばっと手を離した。


背中を見せて、コクコクと頷く。


青い厚いファイルを片手にユンが戻ってきた。


近くにあったというファイルにレポートをまとめて入れてきたようだ。


この部屋の探索は、これで一旦終了する事になった。


廊下に出て、曲がり角まで進む。


廊下の真ん中あたりに扉が一つ。


突き当たりに一つ。


ミーの記憶ではもう一つ、突き当たりを右に曲がって、五人がいた部屋の入り口の左にも扉があったはず。


それを聞いて、最後は一気に調べてしまおう、という話になった。


三つの扉に、六人で分かれるなら二人ずつだが、どう分かれるか。


ミーはなんとなくキムが気がかりで、遠慮がちにそれを告げた。


すると特に反対はなく、それなら、とスズもユンと、ヒロも仕方ないわね、とオルと組む事を決める。


良かった、と内心胸を下ろしていると、


「……じゃ、行こう」


と手を引かれ、ミーとキムは歩き出した。


廊下の真ん中の扉にユンとスズ。


突き当たりの扉にキムとミーが向かい、一番奥にオルとヒロが行く。


扉の前で、すっと白いテールを伸ばし、キムが四角い穴を作る。


そこから見えた光景に、ミーは思わず歓声を上げた。






階段だ!!!






その言葉に他の四人が駆けてくる。


そして歓声は倍になる。


「あぁ、やっと道が見えてきましたね…!」


泣きそうな笑顔でオル。


「やった!やったわね!これでやっとこの場所からおさらばできる!」


拳を握ってヒロ。


ユンもよっしゃー!!とガッツポーズし、スズはやったやった!と飛び跳ねた。











ーー脱出は、もう目前だ。




挿絵(By みてみん)

①…処置室。②…観察室。

③…検査室。④…キッチン。

⑤…研究室。

A…キムとミー。階段。

B…ユンとスズ。

C…オルとヒロ。倉庫。

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