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六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
21/114

・21・理由

ぐるぐると考え込んでいたミーは、スズに肩を叩かれて顔を上げた。


見ると、わずかに硬い微笑を浮かべたキムと心配げなスズが見つめている。


キムがすっと右手を見せた。


すでに傷はふさがり、あの衝撃の現象の跡はなくなっている。


ミーはほっとすると同時になんだか泣きそうになって、その手にそっと触れた。


「……大丈夫…。……もう、治った…から」


安心させるように言うキムに一度頷いて、手を離す。


キムが今の出来事を他の三人にも話そうと 提案し、オル達の所へ向かった。


途中でまだレポートを読んでいたユンに声をかけ、部屋の入り口近くに六人で集まった。


キムが一連の説明をすると、


「…………」


と絶句するオル。


「はぁっ!?怖っ。何それどういう事よぉ……!」


と怯えるヒロ。


ユンは、はい!となぜか挙手し、俺それさっき読みました!と発表する。


なんと、彼がついさっきまで読んでいた実験レポートは『イエローベルト』の効果についてまとめられた物で、その説明には、クエン酸を溶かした溶液に浸し結晶化させた布だと書かれていたというのだ。


ユンがざっくりと理解した所では、クエン酸は【エンジンセル】という何かを破壊する力があり、溶液にして濃度を調節して結晶化させる事で、抑制効果にする事もできるらしい。


純度の高いクエン酸では【エンジンセル】が破壊され、皮膚が腐って(・・・)溶けて(・・・)しまう(・・・)ため、幾つかの物質と溶液にして、布に付着させて結晶化させた物が、あの『イエローベルト』だという。


『イエローベルト』にした状態でも、直接皮膚につけると火傷のようになってしまった、という実験結果の後、薄い布越しでやっと「抑制効果」になったようだ。


その時点で、ミーはもう聞きたくないな、と思った。


「抑制効果」に行き着くまで一体何人の人が実験台になったのだろう、と考えてしまったからだ。


クエン酸は、クエン酸を豊富に含む食べ物、粉末状、液状では何も感じない。


しかし、結晶化させるとなぜか悪寒や不快感を感じるらしい。


つまりまとめると、ヘキサアイズにとってクエン酸は超危険物なんです!とユンは締めくくった。


そして五人はそれとなくキムに目を向ける。


わずかに笑んだまま、キムは自身の右手を見下ろした。


一同はしばし、沈黙した。


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