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六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
19/114

・19・謎の危険物

棚にはガラス戸がついている物、たくさんの引き出しがある物など数種類あったが、並んでいるガラス瓶や器具も、ミーには何か全く分からなかった。


引き出しにもラベルなどはなく、試しに何個か開けて見ると、何か錠剤のようなものやカプセルが入っていたりする。


恐いので触れる事はなく閉めたが、薬品か何かなんだろうと思った。


ユンのそばに来ると、彼は顔を上げ、隣はどんな部屋でした?と聞いてくる。


それに、洗濯とかする部屋みたいと答えると、そっかぁ…と落胆する。


何を見ているのかと手元を覗き込むと、あ、なんか実験レポートみたいです、とユンが教えてくれた。


ちらっと見る限り、ちんぷんかんぷんだったため、さっと諦めてまた奥へと進む。


棚と棚の間を見ると、そこで一つの瓶を掲げて眺めているキムを見つけた。


ミーに気づいたキムが、視線は変えずに手でミーを招く。


キムの隣でその瓶を眺めると、他には全くラベルがなかったのにもかかわらず、その瓶にだけは【粉末クエン酸】と書かれていた。


瓶は茶色で、ラベルの下には『扱い注意』とまで書いてある。


クエン酸なら知っている。


よく柑橘類に含まれている酸っぱいもの、程度だが。


健康や美容にいいと聞いた事があるが、なぜ『扱い注意』なのだろうか。


ミーがんー?と首を捻っていると、


「……これ、どう思う…?」


と、顔をこちらに向けたキムが尋ねてきた。


ミーは素直に今考えた事を伝える。


つまり、なぜこれだけラベルが貼られていて、しかも危険物扱いなのか、と。


「……そう、思って…見て、た…」


うんと頷き、キムは掲げていた瓶を下ろして蓋を開けようとする。


その躊躇のなさにびっくりして、ミーは咄嗟に止めようとする。


なんで?不思議そうな表情をしたキムに、自分でも理由が分からず、なんとなく?と答える。


キムは数秒、じっとミーを見つめたが、さっと瓶の蓋を開けてしまった。


言い様のない恐怖感にミーが思わず距離を取るが、キムは気にした風もなく瓶の中を覗く。


「……んー……よく、見えない……」


呟いて、今度は鼻を近づけた。


あまりに平気そうな様子に、怖々とそばに寄って、どう?と聞く。


「……におい、しない」


嗅覚の特化したキムが、臭いがないと言うなら、本当に無臭なのだろう。


ミーもそっと瓶を覗いたが、確かに中はよく分からないし、なんの臭いもしなかった。


ミーの想像では、何か酸っぱい匂いがするんじゃないかと思っていたのだが。


やはりこの瓶の中身の危険要素が分からず、二人で首を傾げた。

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