・18・洗濯室と実験室※図有り
一同はしばし、辛すぎる沈黙に包まれていた。
が、唯一笑顔の絶えないキムが何事もなかったかのように、
「……じゃ、続き…行こうか…」
と始めた事で、なんとか時間は流れ出した。
次は廊下を進み、左側に並ぶ二つの扉だ。
手前に女性陣が、二つ目に男性陣が入った。
そこは手術台があった部屋と同じ程の広さで、どうやら洗濯室と言うべき部屋だった。
洗濯機と乾燥機 が一台ずつあり、物干し竿と洗濯バサミ、干されている白衣や六人が着ている患者服のようなもの、そして畳まれたタオルや患者服の入った棚。
やっぱり特に手掛かりみたいなものはないなぁ、とぼんやり考えていたミーは、またもやハッとある事に気がついた。
いや、それは今さらな事だったが、しかし……自分は患者服を着ているのだ。
気絶している間に着替えさせられたのだろう。
見ず知らずの、男に。
ミーは叫び出したい気持ちで、その場にうずくまった。
下着とか、見られたに違いない。
自分が着ていた服はどこにいったのか。
ヒーッと呻いていれば、
「ちょっ、アンタどうしたのよ!?」
驚いたようにヒロに聞かれ、自分が気づいてしまった事を話す。
すると、あぁ、とヒロはつまらなさそうに、
「今頃気づいたの?そんなの下の世話されるのに比べたらなんでもないじゃない…」
苦々しく爪を噛んだ。
まぁ、確かに…と思い直し、しかし、やはり心に受けたダメージはそんなに簡単には消えない。
自分の服を探したかったが、
「たぶん、とっくに捨てられてるわよ」
と、ヒロに一刀両断され、諦めて部屋を出る。
まだ男性陣はいなかったため、女性陣も二つ目の部屋へ入った。
そこは広さはテールの検査部屋と同じか、それより少し大きい部屋で、たくさんの棚とフラスコなどがある、実験室のような部屋だった。
「…あ、もう来たんですね。あちらはどんな部屋でした?」
入り口近くの棚を見ていたオルが声をかけてきた。
それにはヒロが答え、ミーは部屋の奥を覗き込んだ。
部屋の奥までやはり棚が並び、中間くらいに長机が二個あり、そこにはユンが何か書類のようなものを見ている。
キムの姿が見えず、ミーは奥へ歩き出した。