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六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
17/114

・17・食事と排泄事情※図有り

もう一度男性三人と女性三人とに分かれ、男性陣は右突き当たりの部屋へ、女性陣は正面廊下、残った左側の部屋に入る事になった。


例のごとくヒロが扉をくり抜き、中へ入る。


そこは五人が囚われていた部屋よりわずかに狭い、それなりに広い部屋だった。


あ、ここ知ってる!とスズが声を上げる。


室内にはあまり物はなく、用途のよく分からない棒や箱が積まれていた。


ヒロやスズの話によれば、時折ここに連れて来られ、テールの使い方などを主に検査されたという。


積まれている棒や箱は木製から鋼鉄製まで様々あり、それらを切ったり、持ち上げたりさせられたらしい。


「これで鉄まで簡単に切れると分かった時、アイツを切り裂いてやろうと思ったんだけど、アイツ『イエローベルト』みたいなコートを着ててさ、気持ち悪くてテールを近づけるのも嫌だったのよね」


テールを揺らしつつ、忌々しそうにヒロが語る。


「あの時はなんでか分からなくて悔しかったけど、多分あのコートのせいだったのねぇ」


バシバシと床を打ちつける紺のテールから距離をとりつつ、ミーとスズは相槌を打っていた。


特に目につく物はなく、早々に部屋を出る。


丁度男性陣に鉢合わせ、収穫を聞けば、あっちの部屋はどうやらキッチンのようになっていたという。


冷蔵庫や冷凍庫、シンクや収納された調理器具があり、おそらく実験体の食事を作っていた部屋のようだった。


ミーが食事事情について尋ねると、時間帯が分からないためおそらくと前置きがついて、常時点滴があり、一日に一度、普通の定食のようなご飯が出たという。


その時だけは先ほど女性陣が入った部屋で手枷も外されて食べていた。


あのガラスの小部屋で五人についていたたくさんの管は、点滴だったのだろう。


ミーはふとあの事にも思い当たって、しかし言いづらい内容に、一瞬聞かない方がいいかな、と躊躇う。


その様子を鋭く読みとったのか、オルにどうしたの?と聞かれてしまった。


おずおずと、トイレとかはどうしてたんですか……と聞くと、オルはあぁ、と気まずそうに目を逸らし、キム以外の三人は顔を引きつらせて、やはり目を逸らす。


それだけで察するというものだ。


あぁ、やっぱり聞かなきゃよかった……、とミーが心底後悔した時、一人だけ表情を変えなかったキムが、


「……たぶ、ん…尿は…カテーテル……大きい方は、トイレ……だった、よ…」


わずかに困ったように笑いながら、そう言った。


絶望したようにオルが顔を両手で覆う。


ミーはさっき質問する前まで時間が戻ればいいのに、と現実逃避した。

挿絵(By みてみん)

①…処置室

②…観察室

③…検査室

④…キッチン

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