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六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
16/114

・16・イエローベルト

もう一つ、カルテの内容からかなり重要な事が分かった。


それは、拘束されていた五人の腰に巻かれていた、太いベルトのついた黄色い帯について。


尾孔、おそらく背中のテールの入り口があいた後、『イエローベルト』という言葉が何度が出ており、【テールの出し入れ動作確認後、イエローベルトを装着。問診では、不快感や寒気を認識】などと、イエローベルトに対する嫌悪感が記載されていた。


確かに、ミーもキムの『イエローベルト』を持った時、ぞわぞわとした感じがしたし、ヒロも、解放直後に『テールが出せなかった』という発言をしていた。


そう、どうやら『イエローベルト』をしていると、テールの出し入れができなくなるようなのだ。


それは五人も何度か実験をされたらしく、『イエローベルト』を着けられると、まず絶えず悪寒を感じる。


そして、尾孔の膜自体が開閉できなくなるという。


テールは、手足のように思考や意思で動かせるが、神経のような物はなく感覚はない、というのは六人の共通認識だったが、それは尾孔も同じで、瞼の開閉なら感覚があるが、尾孔の膜に関してはそれがない。


しかし、テールの操作に慣れてしまえば、感覚はなくとも出ているかどうかや、どのように動いてるかなどは分かるようになる。


『イエローベルト』を装着していると、どんなにテールを出そうとしても膜が開かないため、テールを出す事が不可能になるらしいのだ。


そして、『イエローベルト』によってテールの出し入れを封じられた事に対して、カルテに【エンジンセル抑制効果を確認。引き続き観察を継続する】と記載されていた。


またまた謎の用語が現れ、ミーは疲れてきた。


この場所に連れて来られてから起きた様々な非日常的出来事に、もはや、はいはい次は何?という状態になっていたのだ。


自分の初めの目的は何だっただろうか。


ミーはふとみんなから視線を外して思い返した。


そうだ、謎の男に見つからない事と、この場所から脱出する事だった。


男の行方は知れないが、部屋の出血量では瀕死状態らしいし、もし出会ったとしても、ヒロが恨みつらみをこめて三枚下ろしにしてくれるだろう。


五人はここで様々な実験をされ、それがどんな事だったのか知りたい気持ちも分からなくはないが、今は脱出する事が最優先ではないかとミーは思えてきた。


知らず顔を曇らせていたミーの頭に、そっと手が置かれる。


「……ミー、大丈夫…?……気分…悪い、の……?」


目線だけむければ、わずかに眉を寄せて、優しくキムが尋ねてきた。


ミーは一つため息をつき、遠慮がちに自分の考えを話す。


すると、夢中になって話し合っていた他四人は、ハッとしたように黙る。


「……ま、まぁ確かにアンタの言う通りね。コレについては、ここを出てからでも話せるし」


いささか気まずそうにヒロ。


「そう…ですね。そもそも脱出するための手掛かりを探していたんでした、ぼくら。」


申し訳なさそうにオル。


カルテを発見したユンは多少不満気だったが、六人は部屋を後にし、探査に戻る事にした。

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