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六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
15/114

・15・五人のカルテ

そこで、机の引き出しを探っていたユンが、みんなを呼んだ。


なんだなんだと集まると、ユンはいくつかのファイルを見せる。


ファイルには『No.1』や『No.3』などと番号がふられており、中身はどうやらカルテのようだった。


さらに、ユンが少し中を見たところ、ミーを除いた五人のカルテらしい。


『No.1』から『No.5』まで、ユン、スズ、オル、ヒロ、キムの順にファイルはナンバリングされている。


各自がカルテを読んでいる間、ミーは場違いな疎外感を覚えた。


しばし後、カルテによって判明した事がいくつかあった。


六人は、誘拐犯によって、普通の人間を意図的に感染させ、ヘキサアイズになるまでの変化過程を観察する実験の実験台にされていたようだ。


年代別、性別の違いによる場合のデータのために、10代男女ユンとスズ、30代男女オルとヒロ、そして20代男女にキムとミーが誘拐されたらしいのだ。


五人がされた注射の中身も、予測通り誘拐したヘキサの血液だったようで、カルテには『六角瞳(ろっかくどう)血液希釈溶液』と書いてあった。


また、そこで『六角瞳』って何?という疑問が出たが、字面的にも、ヘキサアイズの事だろうという結論に落ち着く。


また、注射直後に身体が熱くなって気絶したのは、「自己」でない血液が身体に入った事による免疫反応だったようだ。


他にも、【虹彩の形状変化、確認】や、【尾孔の開口、確認。問診では、後背部の痒みを認識】などとカルテは続き、五人の内容をすり合わせる中で分かった事は、ヘキサアイズは個人によって特殊能力を発現させるらしい、という事。


例えば、ヒロならテールの卓越した操作性、キムなら嗅覚による認識・分析能力の高さなどで、特殊能力というよりは、ヘキサアイズになる過程で、最も向上・変化した能力の事をさすようだ。


オルは視力、ユンは脚力、スズは治癒能力が突出してるらしい。


五人は知っていたがミーが知らなかったヘキサアイズの能力に、尋常でない治癒能力があった。


ヘキサアイズは、小さな切り傷程度なら数秒で完治してしまう自然治癒能力があるらしい。


ガラスで全身を切りわずかに出血までしたキムが、気がつくと無傷になっていたのはそれが理由だった。


スズは、他四人が完治するのに一時間はかかった大きめな切り傷が、ものの一分で治ったという。


それを聞いたミーは、能力の凄さより、それを調べるために身体を切られたという部分に背筋が寒くなった。


ついつい大丈夫?怖くなかった?などと尋ねてしまい、ヒロに、


「大丈夫だから、今こうしてんじゃない。何もされてないアンタがビビってんじゃないわよ。むしろ、自分は色々される前で良かった、ぐらいに思いなさい!」


喝!とテールで背中を叩かれてしまった。

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