表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
14/114

・14・血液

ミーがその事を伝えると、一旦六人で始めの部屋を調べる事なった。


ミーがあけた穴では小さかったため、あらためてヒロが穴を広げ、室内に足を踏み入れた。


途端、ミーの鼻をくすぐるあの"いい匂い"。


知らず深く息を吸ったミーだったが、先に入ったヒロとオルは顔をしかめていた。


ミーに続いてきたキムも、わずかに眉を寄せ、


「……すご、い…血の…臭い、だ…」


その嫌悪ある感じを、ミーは不思議に思った。


こんなに"いい匂い"なのに、と。


ミーはふと、キムも初めは同じような匂いをまとっていた事を思い出す。


そういえば、彼はガラスで血だらけだった。


ヘキサになった影響で、血液臭を香り良く感じるようになったのだろうか。


ヒロは部屋の棚などを物色し、オルは手術台周辺を見ているようだ。


オルのそばにキムが近寄り、床の血溜まりに指の先を触れさせた。


ぎょっとして見守ると、彼はその指先を何度か嗅ぎ、一度頷く。


「キムくん、何か分かったのかな?」


尋ねたオルに、


「……これ…たぶん、あの男の……だと、思う…」


「あの男って、ぼくらを誘拐したヘキサの!?」


こっくりと首肯するキム。


オルは驚いたように目をショボショボさせ、血溜まりに目をやる。


仰天したのはミーも同じだった。


なにせ、この部屋で気絶してから、次目覚めた時はもうこうだったのだ。


一体あの医者っぽい男に何があったのか。


血液は手術台の上と、その床周辺をおびただしく濡らしている。


人間は、血液を三分の一失えば死んでしまうという。


この血の量では、あの男は相当な出血をしたに違いない。


「これ、アイツの血なの?キモッ。でも、これだけ血をなくせば、もう死んだも同然ね」


物色の手を止めずに、視線だけ手術台に向けたヒロが、ざまあみろといった口調でそう言った。


「あっ、確かに。この出血なら、テールも出せないだろうし…」


呟いたオルの言葉に、ミーは疑問を挟む。


すると、それに答えたのはキムだった。


「……ヘキサの能力、は…血に、宿るから……血が…なくなったら、能力も…使え、ないんだ…」


先ほどいた大部屋でも説明されたそれに、ミーはなるほど、と納得した。


テールをしまった時、ミーはテールを液体や流動体ではないかと推測したが、おそらく血液なのだろう。


それにしては、ミーは黒色、キムは白色、ヒロは紺色と、血とは思えない色だが、それにも何か理由があるのかもしれない。


テールが血液なら、出血するとテールが出せないのも分かるし、単純に血が足りないと身体能力は低下するだろう。


しかし、男の死体がないこの状況では、生死も行方も不明な事には変わりなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ