・13・探索再開※図有り
「……ミー、大丈夫…?」
そっと背中に手があたり、ミーは視線を上げる。
微笑のない真顔なキムがじっと彼女を見下ろしていた。
ミーは慌てて大丈夫だと首を振る。
初めて視線が合った時のような美しさに、急いで視線を逸らした。
その先でばっちりとヒロの真紅の瞳とかち合い、ビクリとしてしまう。
「何よ、人の顔見てビックリするなんて失礼ね」
吐き捨てるような言い方に、さらに視線を泳がせて結局地面に落とした。
まぁまぁとオルがヒロを宥める声が聞こえ、
「とりあえず、ミーさんの問題に関しては一度保留としましょう。それはおそらくこの施設を調べれば分かるかもしれません。彼女が見たところでは出口はなかったようですが、扉はテールで壊せるので、手分けして出口を探そうと思います」
何か意見はありますか、とオルは言葉を続け、皆反対する事なく了承した。
ミーを除く五人は同じ空間にいたとは言え、検査など以外で目隠しと耳栓が外される事がなく、全く接触はなく、存在も知らなかったという。
つまり赤の他人同士、手分けをするといってもどう分かれようかと少し議論になった。
結論として、この場所があまり広くない事を考えて、男性三人、女性三人と分かれる事に決定した。
六人がいる部屋は、ミーが入ってきた物を含めて三つの扉がある。
そこで、まだ通っていない扉をそれぞれで開ける事になった。
ミーが来た扉からすぐの扉を女性陣、そこから右に折れ広がっている部屋の奥の扉を男性陣。
女性陣では、常にスタンバイしているヒロが紺色のテールをしならせた。
ヒュンヒュンと風が鳴り、扉が綺麗に円形にくり抜かれる。
ガダン!とかなり重たい音をたてて円形部分が廊下側に倒れた。
「さっ、行くわよ」
くり抜かれた扉を威勢良くくぐったヒロはそこで、
「あら?」
と、立ち止まる。
どうしたんだろう、とミーとスズが思った時、
「……あ、れ?……同じ、廊下…」
困ったようなキムの声が聞こえ、ん?とミーは首を傾げた。
円を抜けてヒロの視線の先を見れば、少し先の廊下左の扉を四角く切り取ったのだろうキムが、テールをしまっているところだった。
んん?と首を反対に傾け、ミーは周囲を見渡す。
そして、はっとした。
自分の後ろに廊下奥の扉、廊下に左にキム達が出てきた扉、その真正面、ミーから見て右側に扉、そして正面奥には歪に穴のあいた扉と左右に続く廊下がある。
ここは、始めの部屋を出た、真正面の三つの部屋があると思った廊下だった。
扉だけを見てそう判断したが、実際は五人のいた広い部屋の扉が二つだったわけで、ミーは始めの場所に戻って来たようだった。




