表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六角瞳  作者: 有寄之蟻
脱出編
10/114

・10・六人のヘキサアイズ※図有り

その後、そっと管を抜いていた男性にイライラしたのか、女性がぶちぶちと抜いて男性が悲鳴を上げ、ミーはさっきの決意をあらためて心に刻んだ。


そして四人は他に二人、ミーより年下っぽい少年と少女を解放する。


小部屋を開けるのも枷を壊すのも女性がしていたが、実際にされた男性は相当恐かったのか、目隠しと腰の布は切らないよう言い含めていた。


顔は今にも泣きそうだが、かなり勇気があるか、意思が強いようだ、とミーは尊敬の念を抱いた。


少年はミーより少し背が高く、茶色い短髪で、同じく茶色い六角形の虹彩は、淡く翠に光っている。


少女はミーより小さく、強い癖のある黒髪を三つ編みにしていて、黒い六角形の虹彩に、ピンクの光をのせていた。


オドオドしている割にハッキリと自己主張する男性によって場が仕切られ、全員自己紹介と自分の体験を話す事になった。


始めは男性で、名前は オル、勤務先から帰宅途中で攫われたとの事。


気づけば手術台にのせられ、医者のような男にいきなり何かを注射されたという。


その後、気絶してしまい、気がつけば目隠しされ、耳栓のせいで音も聞こえず、真っ暗な中で拘束されていた。


何度か男に連れられて目隠しと耳栓だけを外されて、テールを出す実験や五感の検査などをされたらしい。


次はあの女性で、名前はヒロ。


こちらは逆に通勤中に誘拐された。


その後はほぼオルと同じ体験をしたと言う。


青年・キム、少年・ユン、少女・スズも皆共通した経験を話した。


五人の話の中で、ミーには理解できない言葉が何度も出てきた。


が、とりあえず話を聞いていたのだが、ミーの番になり、名前とこれまでの経験を言うと、ヒロが不機嫌そうに、


「はぁ?じゃ、アンタは注射されてないのに、ヘキサになってたってわけ?」


紅い視線にビクビクしつつも、そもそもその『ヘキサ』とは何なのか、とミーは問う。


すると五人は一応に、は?という反応をした。


いや一人だけ、キムだけはミーに向かって微笑し、とうとうと説明を始める。


「ヘキサ……って言うのは、ヘキサアイズの…略。……ヘキサ、が六で…アイズは、目……でしょ…?目が、六角形…だから、そう言うん……だって」


キムの途切れる話し方はどうやら素のようで、かなりゆったりしていたが、ミーはやっと合点がいった。


初めに見たキムの瞳はあまりに美しく、次に見たヒロの瞳は峻烈で、形の異常さにあまり考えがいかなかったのだ。


しかし、あらためて考えてみれば、虹彩が六角形なのは異常だし、そういう瞳の人の事を『ヘキサアイズ』と呼ぶのだろうな、とミーは納得した。


が、そこでん?と首を傾げる。


あれ、他人事に納得したけど、自分も仲間にされていなかったか?と。


思って口に出せば、


「え?きみもヘキサだよ…ね?目も六角形だし、青く光ってるし、テールだってあるんでしょ?」


オルにそう言われ、ミーはハッとする。


色々と異常なのに、あまりにも馴染みすぎて異常だと感じれない事に気づいた。


瞳の形以前に目が発光する事もおかしいし、もっと異常なテールの存在も忘れていた。


そういえば、なぜ自分は真っ暗闇の中でしっかりとみんなの虹彩の色(・・・・)まで判別できるのか。


そして、『青く光ってる』の言葉に、キムに言われた『……君…は、青…なんだ』の言葉を思い出す。


……もしかして、自分の目も光ってるの?と聞けば、


「ぴっかり光ってるわよ!信号みたいにね!」


ヒロが指差して肯定した。

挿絵(By みてみん)


①…青年・キムがいた部屋。

②…女性・ヒロ

③…男性・オル

④…少女・スズ

⑤…少年・ユン

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ