問題編
この作品は、私の活動報告(2014年10月6日と10月11日)の内容を加筆修正したものです。
『この話、どこかで読んだ気がするぞ』という方は、いつもご愛読ありがとうございます。また、そうでない方も、ぜひお楽しみ下さい。
推理小説における致命的なミスについて、しかも自分の作品のミスを再度人目にさらすような内容ではありますが、『なろう』内で推理小説を書く同志達の一助になれば幸いです。
(『名探偵の掟 ~人の境界~』の致命的なミスの話ですので、未読の方はぜひ本作をご一読の上、お楽しみ下さい)
【注意事項】
この本文には、ある推理小説のネタバレが含まれています。
私の完結済推理作品『名探偵の掟 ~人の境界~』のネタバレです。メインとなるトリックではないものの、間違いなく驚きポイント(になっていると良いな)の一つが書かれています。
「読む予定のあるなしに関わらず、どんな作品であろうと、未読のミステリーのネタバレは耐えられない」という方は、ここで読むのを止めていただき、次の作品をお待ちください。
◆ ◆ ◆
【問題編】
――。
強烈な頭痛とともに脳裏に閃く映像。
脈絡なく現れ、認識の全てを支配する偽りの現実感。
これは――いつもの予知能力だ。
イチガツこと市原勝也はそれを確信する。
平均、平凡、平和の三拍子がそろった、実に普通の大学生であるイチガツは、ある一点においてのみ常識から大きく逸脱する。
それが、この予知能力だ。
何度経験しても慣れることのない、激痛を伴うその現象。
しかし、積み重ねられた経験が主張する。
――この映像は、間違いなく未来に出会う内容を表している。
「イチガツ、大丈夫? もしかして、またいつもの?」
心配そうな声色でイチガツの顔を覗き込むのは、如月弥生――名探偵である。
そして、イチガツと同じN大学の学生であり、イチガツの恋人でもある。
会話の最中、突然頭を押さえて顔をしかめれば心配することは当然だが、彼女にとってもこの現象はお馴染みのものである。
「何が見えたの?」
「うん。いつもに増して意味不明だよ。見えたというか、頭に浮かんだんだ。ええと――」
「――『名探偵の掟 ~人の境界~』には、ある致命的なミスが発生した」
次回、いよいよ『致命的なミス』が明らかになります。