#1 Beginning
初投稿です!!
未熟者ですが少しでも楽しい作品ができるようにがんばります!!
【SIDE 相楽奏】
『キーンコーンカーンコーン』
授業の終わりを告げるチャイムが教室に響く。
「じゃあ今日はここまでにしまーす。各自王朝の制度は復習しとけよー」
先生の言葉を聞いて学級委員が号令をかける。
この七限世界史Bをもって今日の全七時間の授業プログラムは完遂した。
ここは私立梨園学園。
毎年有名大学や芸能事務所、スポーツ界に何人もの生徒を送り込んでいる進学校である。また部活動でもインターハイ出場は珍しい事ではなく強豪校として知られており正しく文武両道を実現している高校である。
またこの学校は他の高校とはいろいろと制度が違う。
まず始めにクラス編成が複雑で、
第一学年ーー全6クラス A~E組 普通科
F 組 体育科
第二学年ーー全6クラス A 組 文系特進科
B 組 理系特進科
C~E組 普通科
F 組 体育科
第三学年ーー全7クラス A 組 文系特進科
B 組 理系特進科
C~E組 普通科
F 組 体育科
S 組 S特進科(別名クラウン)
で構成されている。
簡単な説明をすると、この学園の生徒は一部例外を除いて、『アドバンテージスキルシステム』という入学試験を受けて入学する。このシステムにより細かく区分けされた生徒はそれ相応のクラスに編成される。『アドバンテージスキルシステム』については後々詳しく説明する。
二年は一年の時に成績が良かった生徒のみA組やB組といった特進科になることができて普通科とはカリキュラムが少し異なる。体育科はエレベーター式で一年から進級する。
そして三年のクラウン(S特進)は教師による完全推薦制で選ばれそれはもう未来の政治家になるような秀才しか入れない。その他のクラスは二年の時と同じ規準で分かれる。
つまり成績の良い生徒は同レベルの生徒と固めて特別なカリキュラムを歩ませる。そして有名大学への糧とする。
他にも説明したいがそれは後々。
説明が済んだ所で俺の名前は相楽奏。
クラスは2年B組、所謂、理系特進科。普通の高校生だ。いやほんとに普通。顔面偏差値だって51とかだろうし、身長も172センチ。嫌いな曜日は月曜日だし、女の子と目があっただけでドキドキするし、先生に向かって「お母さん!」って言ったこともある。もちろん彼女いない歴=年齢。それぐらい普通。得意の事はパソコンをいじる事。他には特にない。
ただそんな俺にも一般と違う点がある。
ーー俺は生徒会の人間だ。
正直言ってなんでこんな普通な俺が生徒会様をやってるのか分からない。ここは全国的な進学校だぞ? 一般の俺には荷が重すぎる気がするのだが。
それでも今まで問題は起こした事はないし曲りなりにもちゃんとこなしている。まぁ実際他のメンバーに助けてもらいっぱなしだけども。
普通な俺が生徒会に就任した理由を簡単に話すと生徒会を固めるメンバーが俺の知り合いばかりだったという事。これに尽きる。その事にはまたの機会にふれよう。
「ーー奏、僕今日部活休みなんだけど一緒に帰らない?確か今朝今日は生徒会サボるとか言ってたよね?」
授業の教科書類を片付けていると前の席から声をかけられた。
目先を声の発信源に向けるとおとなしそうな男子生徒。髪は短い黒髪でブラウンの眼鏡をかけている。
彼の名前は永坂真智。
お察しの通り同じクラスで去年からの仲で親友である。普段は静かだが知り合いの前では基本明るい。そして学園内では保険委員長として知られている。
「確かに今日はサボるさ。だけどアイツらが許してくれるかどうか……」
「ああなるほど。今日も何か策あるんでしょ?」
「勿論あるぜ!今日の作戦は……」
俺が自分なりに、この弱い頭で、世界史の時間を費やして考えた作戦を真智に伝えていく。
もちろんサボる為の作戦を。
だって今日会長も副会長もいないしもうやるべき仕事は全部終わった。なら帰ってもいいでしょ?
あの運動バカの包囲網を越えるには失敗は許されない。つまり成功したらお家に帰れて夢の世界にログインできる。失敗したら拷問…もとい、事情聴取が待っている。
やべっ、考えただけでも頭痛が…。
『ガラガラガラ』
きた、隣のC組の授業が終わり先生が出て行く。
ちなみにこの学園には朝のホームルームはあっても帰りのホームルームはない。朝は生徒の健康状態を担任が確認しなくてはならない為あるが、連絡事項が全て生徒の携帯に届くようになっているため帰りのホームルームはいらないのだ。 つまり授業が終わったらそのまますぐに下校ないし部活動の時間になる。
先生がでていったのは作戦の開始の合図――。
俺たちは顔を見合わせ椅子から立ち上がり廊下に向かう。
その頃F組、体育科の教室を飛び出たのは、目を見張るほどの黒髪美人、そして並みはずれた身体能力を備えた生徒会会計――御池真緋だった。