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転生先の将来選択、私は聖女ではなく悪役令嬢を選びました

作者: 夜麗出ユウ
掲載日:2026/02/14


「突然ですが、あなたはこちらの手違いで死にました。転生後の将来をお選びください」



なぜ?????????

________________________

数日前、私は学校でいつものように授業を受けていた。

ワイヤレスイヤホンを片耳にしてバレないように音楽を聴いていた。


その時、地震が起きた。


(いつもの地震とは全然違う……!!!)



焦りながらもなんとか机の下に隠れた。

みんなもすごく焦っていて、

泣かないように歯を食いしばって机の足を持つ友達、

恐怖心が限界を超えたのかは分からないが何故か口角が上がってる男子、

揺れるのに耐えながらも冷静に周りを見ながら自分の安全を守ろうとするいつも静かな子。




いろんな反応だった。






そして避難。廊下は物があまり無くて逃げやすかった。

先生が大声で「火事だ!!!」って言った。




(放送室、使えなかったのか…)



校庭にいると火事のせいで建物が壊れる可能性があったので、近くの大きい公園に避難した。先生たちは火を消してから来るそうだ。







先生が戻ってくる前に、私は突然死んだ。

本当に突然。死因は頭を強打したこと。正確には転んだ。

足元の悪い瓦礫などが倒れているところを無理に通ったのがいけなかった。


正直、頭を打ったというのもあってすごく痛かった。

そう思っている中、私は意識を手放した。















ピコンッ

「ということで、将来選択をしてください」

そしてこれだ。





「え?いやは?え?ん?」

何これ機械みたいな………何これ???


「ですから、手違いで死んでしまったので、新しい将来選択をしてください」





「え、手違いで死んだら元の世界に戻れないの!!?!成仏もできないの!?」



「はい。サービスですので成仏はできません。元の世界に戻るのは、とても大きな力が入ります。そんな物、お前にやる必要はない」


なんだこいつ機械のくせにムカつく。ってか手違いならそれ相応の対応してよ…



「………それで?異世界に行くしか私に道はないと??」



「そういうことです。理解が早い。すごいデスネ」

ほんっと図々しいな。



「………将来選択っていうのは何?異世界ってことは魔法使いとか剣士になるのを選べるってこと?」



「いえ、そういうキラキラしたものではないです。あなたが選べるのは聖女か、悪役令嬢か、どっちか」

ここまでくると一周回って清々しいな。

私絶対こんなのにはなりたくないわ



「まぁ、みなさん聖女を選択しますけど、あなたもそうですよね?」



聖女っていうのは確か、慈愛に満ちた素晴らしい力を持つ綺麗な女性………



いやダル



え、だってそれってめっちゃ期待されるってことでしょ??

あることないこと疑わずに色々と言ってくるってことでしょ???

逆になんで聖女選択するの????



悪役令嬢も嫌だけど………避けられてワンチャン自由にできそうだし…

よし!!!


「悪役令嬢でお願いします!!!」



「………理解できない。まぁいい。せいぜい嫌われるんだな」


もう諦めよう。こいつのことは。それがいい。それが一番幸せになれる。




…………あ、眠くなってきた……………





________________________


「生まれました!!!生まれましたよ!!!」


「あぁ………良かった……私の娘…可愛い子…」


「よく頑張ってくれた!!!イーレン!!」



オギャー‼︎‼︎‼︎‼︎




うるさいなぁ…………



____あ、これ私から発されてる音か。生まれたばかりで泣かなきゃならないのか。




「奥様、おめでとうございます!!使用人一同、心からお喜び申し上げます」


「そんなにかしこまらないで。ありがとう。あなたたちのおかげで無事に産むことができたわ」



「いえ、あなたは聖女様なのですから本当はこれくらいが妥当です」






なんで聖女から悪役令嬢が生まれるんだよ









あれから、私は聖女になるための教育を受けさせられた。

私はもちろん受ける気なんてさらさらなかった。

だって私は自由がいい。確かに自分が救える人は救ったほうがいいと思う。

だが、私は別に教育を受けてまで慈愛に満ちた行動をしたいわけじゃない。

困っている人を見たら助ける。

それだけで十分だと私は思う。


だから、私は度々勉強の時間を抜け出した。

高校まで行った実績はあるし、中学でオール4(5もちらほら)取っていたくらいには知識はある。魔法はこの世界にはないみたいだし、教科書をパラパラめくった感元の世界と同じような内容だったし大丈夫だろう。


………少し違う点を挙げるとすれば

「人は支え合えばなんでもやれる」

「人を進んで救えば神に認められ、天界に行ける」

「救うというのは美しい。何故なら救うこと自体が美しいからだ」


みたいな“たのしいせいじょさまになるほうほう”

っていうことをやる。


「リーエ様!!!お待ちください!!」


「いやよ!!!あたちは自由がいいの!!!」






「リーエ様!!!また抜け出して!」


「しらないわよ!!!!あたちはせいじょになんかならない!!!!」




まぁ、さっきも言ったが私は聖女になる気はない。

だから勉強はしない。



勉強をしない子が来ないであろう書庫に身を潜め、ずっと本を読んだ。

まぁ、たまに追いつかれて勉強させられたことはあるけどね………

________________________

リーエは転生したなんて知らない異世界人からしたら天才以外の他に言いようがなかった。


勉強を抜け出し、聖女にはならないと言っているのを知っている屋敷の人間たちは不思議でしょうがなかった。


「……全問正解…」


「まだなにも教えてないというのに??」


そう。なんとか追いついて部屋に戻して勉強をさせる日にはいつでも満点。

字もしっかりと書ける。


驚きを隠せないでいる使用人やリーエの父、ルートン。



だが、聖女イーレンだけは冷静だった。


(………私と同じ異世界転生者…?)


そう、彼女もまた、約20年前の転生者だったからだ。



彼女も突然死だった。海外旅行中犬に噛みつかれ時間が経ち死亡。

手違いで死亡した彼女も、将来選択を迫られた1人だ。





「リーエ、食事が終わったら、お話があります。

……少し聞きたいことがあるの」




「………わかりました」
















「さて、リーエ。あなたに聞きたいことがあります」


「し、知っているでしょうけど、私は聖女には」

「わかっていますよ」


「……?ではなぜ呼んだのですか?」

なんで呼ばれたのかわからない表情。



それは、演技なのだろうか。






「あなた、異世界転生者?」



なにを言っているかわからない、という表情の後、

無言で俯くリーエ。




「私もそうなの」






「あなた、悪役令嬢を選んだのね?」



















「うん、そうだよ」


途端に、リーエの雰囲気が変わった

________________________

バレた。


……いや、薄々予想はしていた。

だって彼女は聖女と呼ばれる存在だ。


あの最悪機械は聖女と悪役令嬢という二つを提示してきた。

そして、あの機械は

“まぁ、みなさん聖女を選択しますけど、あなたもそうですよね?”

と言った。

私の他に転生者がいてそのほとんど…いや全員かもしれない数、聖女を選択していた



まぁそういうことなんだろう。




「もうちょっと上手くやれば良かったかなぁ」

そう、全力でやらないのは嫌で、やってしまった。

変なプライドのせいでバレた。




「そうね。でも、まっすぐでいいことだと思うわ」


「ありがと。………それで?あなたは私を転生者と知ってなにがしたいの?」


「特にはないわ。でも、理由を教えて。なぜ、あなたは悪役令嬢を……自ら嫌われに行くような将来を選択したの?」


「逆に私が聞きたいよ。だって、聖女ってほとんど自由がないじゃん。人に愛されるのは嬉しいけど、私は“嫌われるかわりに自由”と“自由はないけど人から愛される”、これを天秤にかけた時に、“嫌われるかわりに自由”の方が圧倒的に重かっただけ」


「………そう。なら好きにすればいいわ」


「あれ。てっきり道を正しに来るかと思ったけど」


「子供とはいえ、元の世界では赤の他人だもの。なにをしようが、あなたの自由」

この世界での私の母、イーレン。

思想は私には理解できない。

でも、決して悪い人ではない。





「因みに死因って聞いてもいい?」

「……犬に噛まれて死んだの」

「しょぼいな……」

「あなたはどうなのよ?」

「転んで死んだ」

「もっとしょぼいじゃない」

________________________

あれから、私は“聖女が母の悪役令嬢”として名を馳せた。

まぁ人を無視したりしたわけじゃない。


勉強を抜け出す時に窓ガラスを割ったり廊下の絨毯を剥いだり花瓶を割ったから

使用人に“悪役令嬢じゃないか!!”と言われたことをきっかけに広まってしまっただけだ。相変わらず母は忙しそうに自分の見えない人まで助けようとしている。


私は、悪役令嬢と言われ、陰口を言われるかわりに自由でいる。




「生き方は人それぞれ、かな」


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