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第三回

半時間ほど歩いて岩場に着いた頃には、騎馬の影も目と鼻の先に迫っていた。数は少ないが、一目で野盗と分かる殺気を帯びた男たちだ。不格好に湾曲した刀剣を腰に吊るし、大小様々の弓を背中にかけている。この辺りの馬賊の特徴で、弓の大きさが組織内での地位を表すようだ。


大将格の先頭の男が馬上から山なりに放った第一矢を、私は居合抜きに叩き落とした。多少は威嚇の効果も狙ったものだ。植物性の猛毒が塗られているので、下手をすると昨日の愛馬の二の舞になってしまう。殺し合いの予感が鉄の冷たさで私の肌を撫でていく。傍若無人に照りつける太陽を、二尺五寸の愛刀がはね返す。敵は七騎。怪我人を抱えた身では交渉の余地はない。第二第三の毒矢を(かわ)して、私は八双に刀を構えた。

私が女だと気づいたのだろう。賊の方でも一斉に曲刀を抜きつれると、目をぎらつかせて襲いかかって来る。せっかくの威嚇も意味をなさなかったのは遺憾だが、血気だけで生きている男共が相手では仕方ない。血気のままに葬ってやるのが、最高の礼儀というものだ。


数を頼りに突進して来る賊との間合いを見計らって、私は一気に駆け出した。瞬時に交錯した中央の三騎を切り捨てる。驚愕の表情で振り向いた四人目はそのまま、馬首を巡らせて突っ込んで来る残りの三騎を、脇差を抜いた私は二刀流に迎え撃つ。振り下ろされる曲刀は予想以上に遅くて、私は問答無用に三人の賊を斬ってしまった事を少しだけ悔やんだ。毒さえ使わなければ殺すほどの相手ではなかった。私は刃を返して峰打ちに三人を殴り倒した。こいつらの鍛え方では肋骨(あばら)の二、三本は折れただろうが、そこは自業自得だ。

呆然としている残る一人に血に濡れた刀を向け、道案内を強要することにする。

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