北区、宮内を調査せよ
北門の裏口に辿り着き、昨日貰った通行書を見せる。
無事、通れた。
その先の裏庭に、昨日お世話になった武蔵皇子の付人が居た。
「昨日は誠にありがとうございました。
私は、家臣の富士式と申します。
式と略して結構です。
爽真殿にご紹介したい人達がいらっしゃいますので、ご案内致します。」
式の後について行くと、裏庭の一角で、鍛錬している人達がいた。
「ご紹介します。爽真護衛隊です。」
ずらりと5人が並び、爽真に向かってお辞儀をする。
「「「「「よろしくお願いします。」」」」」
その中の1人が見覚えがある。筋虎だ。
「どうも、昨日はありがとうな。
おかげで命拾いをしたよ。」
「複数人から不意打ちされなければ、この方も大変優秀な武人なのですよ。」
「昨日は参ったよ。」
筋虎は、頭を掻く。
「北区で皇子のご依頼を受ける際は、この隊を使っても構いません。使いたい時は、隊長の筋虎に声を掛けてください。」
「分かりました。ありがとうございます。」
爽真はお礼を述べた。
「武蔵皇子から爽真殿に伝言がございます。
北区にある宮内を全て確認して頂き、怪しいところがあれば指摘して頂きたいとのこと。」
メインストーリー『北区、宮内を調査せよ。』
が追加された。
「俺が襲われた時、複数人の犯行だった。
これ以上、俺と同様の被害を他の人に遭わせないようにして欲しいんだ。
俺の所属している部隊が、その怪しい箇所を洗い出すのを全面協力する。
昨日の様な過ちを繰り返えすものか。
返り討ちにしてくれる。
我が部隊の協力を断っても構わないが、この隊長の俺でさえ不意打ちで昨日の有り様だ。死ぬなよ?」
昨日怯えてた人とは思えぬ。
話を進めていくにつれて、後半は真剣な顔つきになっていた。
言葉に意味が込められていることがひしひしと伝わる。
爽真は、決断する。
「一緒に同行してくれ。」
依頼に協力して貰うために筋虎に同行をお願いした。
「おう、よろしくな。」
筋虎は、笑顔で応えた。
ステータスに同行人5名が追加された。
「それでは我は仕事に戻らせて頂く。」
式は、宮内に戻っていった。
「では向かおうか。
予め、行く建物の順番はこちらで決めている。
『籠手御殿』『大鎧御殿』『草摺御殿』『短甲御殿』『臑当御殿』の順だ。
ってことで、調査開始だ。」
〜籠手御殿〜
筋虎が先頭に立ち、
一部屋一部屋丁寧に確認する。
「爽真殿に把握して頂くためにも、宮内の建物事情や各部屋を紹介しよう。
籠手御殿は、王族の方が主導して案を出し、北区民に必要不可欠な物を用意している大変重要な施設だ。
基本、王族のための建物と思え。」
一つの部屋の前に立ち止まる。
「王族又は王族の血縁者以外立ち入り禁止の部屋が多くある。
目印は、畳の長辺の角を保護する布状の畳縁が金色である箇所だ。
王族又は王族の血縁者以外ならば、我々のような隊員が小手調べと称して、試しに様々な対応をする。最悪対処することもあるな。
爽真殿はあの北山さんの身内だからな。
血縁者だから問題ない。これより先も進めるぞ。」
北山さんはここで相当活躍していたのだろう。
筋虎の言葉から尊敬が込められているようにみえる。
「こちらが寝床の間、その奥の部屋は宝の間、左は憩いの間、その奥に厠と風呂場。
この畳の間は武蔵皇子の仕事場だ。
昨日爽真殿が使用したと聞いた。
爽真殿の調査は15時まで。時間が来たら、武蔵皇子に調査報告をする手筈になっている。」
こうして一部屋ごとに説明を受けながら、爽真は調査をする。
調査中、ヒソヒソ密かにすれ違う人達の会話が聞こえてくる。
ヒソヒソ.....
「 の 方、また籠ってるですって。」
「まぁまぁ。でも、 様が来る朝には、また元気になっているのでしょう?」
ヒソヒソ.....
「あの襖から光が、....」
「光から獣が?夢ではなくて?」
ヒソヒソ.....
「なんだか最近、身体が臭うのは気のせいかしら?」
「そう?分からないな。それより体重が急に増えて苦しい。」
ヒソヒソ.....
「これだけでは だから と思うのじゃ。」
「よく考えておられる。ならば、 はどうでしゃろ。」
ヒソヒソ.....
ヒソヒソ.....
ヒソヒソ.....
調査で気になったのは、3点。
一つは、厠の行列。
10人以上が常に並んでいる。
全員が冷や汗かいてる。
腹に黒いモヤが全員かかっている。
緊急性が高そうだ。
『神のお供召喚』が光り、ボタンを押した。
イツキが召喚された!
すると、脳裏に言葉が響いてきた。
「我の水を飲ませよ。」
蛇が口から水を出した。
厠から少し離れた場所で蛇は石化し、その周囲に洗面台が作られた。さらに、追加の厠も作られた。
なんて親切な蛇でしょう。
厠を利用した後の北区民達に一つ質問をした。
「最後に食べた物は何か。」と。
最後に食べた物を聞くと、全員同じ物を食べている。
卵・玄米・野菜の漬物・味噌汁。
護衛隊員達に事後報告をした。
「もし食べ物の管理について提案があれば、皇子に相談してみると良い。」
筋虎に助言を頂いたので、この後皇子に話そう。
『サブストーリー:厨家で集え』が解放されました。
二つは、宝の間にあった金属の山。
何が起こったかは流石に不明だが、確実に荒らされたであろう、不審な跡を見つけた。
これは何の血跡だろうか?
宝もいくつか盗まれているのではないだろうか?
護衛隊員達に報告を済ませる。
「これは、詳しく調べなければ。
おい、護衛が終わったら、佐吉と吉作はこの資料と照らし合わせて在庫確認だ!」
「はい!」
「御堂筋と石虎は、血痕の跡を調べろ!」
「はい!」
筋虎は、各隊員に護衛後の仕事を割り振った。
三つは、風呂場。
湯船にカビが生えてたり、湯船から茶色の濁ったお湯が流れていた。
風呂場内はうっすら霧のような黒い煙が舞っている。
水を配り終えたイツキが、水圧で風呂場を丸ごと洗う。水の温度も自由自在のようだ。
泡も出てるので、もしや洗剤も自由自在か。
尻尾を振り回すと、扇風機並みの威力で風呂場を喚起させた。
蛇口となっている竹から白く濁ったお湯が出る。
これが綺麗なお湯なのか首を傾げていると、
「これは綺麗なお湯です。」
と、イツキが答えてきた。
しかし、すぐに竹から茶色く濁ったお湯が出る。
「これは濁ったお湯です。」
と、イツキが答えてきた。
イツキの声のトーンが一つ下がった。
護衛隊員達に報告を済ませる。
「もし水の管理について提案があれば、皇子に相談してみると良い。」
筋虎に助言を頂いたので、この後皇子に話そう。
『サブストーリー:川を清らかにせよ』が解放されました。
こうして本日の調査が終わる。
15時になると、親衛隊と共に畳の間へ。
武蔵皇子に、三つの報告と二つの質問をする。
「食べ物はどのように管理しているのか。」
「ほう、気になるか。食べ物は、大鎧御殿の厨家で聞くと良い。紹介状を渡そう。」
「はっ。」
式から厨家の紹介状を貰った!
「水はどのように管理しているのか。」
「ほう、気になるか。式よ、資料を用意せよ。」
「はっ。」
式から壱ノ宮の水の管理事情が分かる地図を貰った!
一つの建物を調査しただけで一日が終わってしまった。
爽真は、神社に戻るために北門を出る。
???(クックッ、バレずに済んだ。
さて、オレの章の始まりだ。)
ステータスの記録集に2種類追加された!
◎食あたり・食中毒
その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生。
侵入経路は六つ。
一つ、生や加熱が甘い肉・魚・卵。
二つ、殺菌されてない水。
三つ、洗浄不足の生食材。
四つ、あたたかい場所に長時間放置。
五つ、不衛生な手で触った食材。
六つ、不衛生な排泄物から感染した食材。
当てはまると、腹下す。最悪、死の恐れもある。
体内にいる菌を出せば治るので、水をよく飲んで排出することが推奨。
◎室内のカビ
一つ、湿度60%以上。
二つ、気温が20℃〜30℃。
三つ、喚起不足。
四つ、掃除不足。
この4点が当てはまると、細菌のカビが室内に付着しやすい。すると、カビの胞子が空気中に舞い上がり、体内に侵入する。
体内に侵入すると、鼻のかゆみ・喉の痛み・咳が出る。
長期間放置すると、アレルギーや喘息の悪化を引き起こすことがあり、慢性的な体調不良につながる。
カビは、速やかに掃除で除去することが推奨。
神のお供:イツキ
主: 市寸島比売命
市杵島姫命
瀬織津姫
型: 蛇
役割:清らかな水を出す。水に関する知恵を与える。




