探せ、襲われた理由
翌朝、神社の日課を終える。
昨日の経験により、武蔵ポイントが追加されたので、体力と気力に割り振る。
昨日は大変だった。
あの三つ目の水鉄砲で気力が無くなり、カヅチに乗って逃げて乗り切ったが、それでも最後の接戦で一気に体力も1しか残らなかった。
今回も均等に割り振ろう。
===================================
▷お知らせ
達成!体力と気力が上昇しました。
神主の職業がレベル3に上がりました。
職業:退治屋が追加されました。
職業:納品者が追加されました。
▶︎ホーム画面〈北山神社〉
▷ステータス
職業:神主 レベル3
退治屋 レベル1
納品者 レベル1
体力:50/50
気力:50/50
武蔵ポイント 0P/100P
所持金額 215銭
基本スキル:命令札
職スキル:神のお供召喚
▶︎受注一覧
▶︎扇 自動ON
▶︎人物図鑑
▶︎物怪図鑑
▶︎記録集
====================================
『メインストーリー:たぬきが皇子を襲った理由を探せ!』を攻略するため、昨日の『地下ダンジョン』へ筋虎達と共に再度向かう。
正規の方法で入り口を開け、先へ進む。
「おや?」
入り口からすぐ近くにあった扉が消えていた。
そのまま地下の調査を進める。
正規の出口も案内してもらったが、そこは何も異常はないようだった。
他に知らない道もあるそうなので、そのまま続行した。
奥に進んだところに扉が設置されていた。
どうやら、扉が移動したようだ。
勇気を振り絞り、その扉を開ける。
石畳の階段が突如現れた。
それを数十段登る。
地上へ出ると、なんとも立派なお寺があった。
寺の敷地内から賑やかな声がする。
〈ポポポポ ポン ポン ポン。〉
〈パン パパパパパ。〉
「かぁあーっ!」
声がする方へ向かう。
爽真はお寺の和尚さんに声をかけた。
「何をしているのか。」
「太鼓勝負さ。」
振り返ってみれば、昨日のたぬき達が賑わっていた。
和尚さんは、狸と戦っていた!
和尚さんは、手で自身の腹を連打する。
〈パン パパパパパ。〉
「もう少しで良い音を出せそうなんだがな。」
と、目が合った。
すると、何やら企んだ顔でこちらに話しかけてきた。
「おい、俺と一緒に良い音を鳴らさないか。」
和尚さんを同行人に追加した。
「え?」
====================================
『メインストーリー:たぬきが皇子を襲った理由を探せ!』が発生しました。
寺で和尚さんとたぬきの腹音対決
和尚さんと共にたぬき達から繰り出す音に合わせて鳴らせ
特別ルール
成功すると、たぬきが皇子を襲った理由を明らかにすることが出来ます。
失敗すると、メインストーリーが未達成となり、ゲームオーバーします。
タイムリミット:一時間
====================================
「先攻は此奴達、次にお前で最後は俺だ。
君が身近に持っている楽器で一緒に楽しもうや。
繰り出す音に合わせて叩こう。」
「はい。」
そういって和尚さんは背中に背負った日本酒を飲み、お腹を膨らます。
爽真は、扇に目を向ける。
『神の使い召喚』ボタンが発動した!
爽真は、蛇のミムスを召喚した!
次に和尚さんに向かって命令札を出し、札書かれた呪文を唱えた!
「テンブ!」
和尚さんのスキル『天部の加護』が発動した!
蛇のミムスに弁財天の加護が付与された!
ミムスは、口から頑丈な糸とバチを出す。
お腹を膨らませて口と尻尾に糸を持って背筋を伸ばすと、琵琶へと変形した。
蛇革の立派な琵琶を手に入れた!
〈ブウァァァン〉
「綺麗な音だ。さぁ、奏でようや。」
こうして、勝負が始まった。
〈ポン ポン ポン〉
〈ブウァン ブウァン ブウァン〉
〈パン パン パン〉
〈ポン ポン ポポポ ポン〉
〈ブウァン ブウァン ブブブ ブウァン〉
〈パン パン パパパ パン〉
たぬき達は、二人に挑発するように音を少しずつ変えながら鳴らしていく。
爽真は、打ち間違いをしないよう、丁寧に鳴らす。
和尚さんは、酒を飲みながら自身の腹音を楽しむ。
〈ポン ポン ポポポ ポン ポポ ポン ポン〉
〈ブウァン ブウァン ブブブ ブウァン ブブ ブウァン ブウァン〉
〈パン パン パパパ パン パパ パン パン〉
〈ポポポポ ポン ポン ポポポ ポン ポポ ポン ポン〉
〈ブブブブ ブウァン ブウァン ブブブ ブウァン ブブ ブウァン ブウァン〉
〈パパパパ パン パン パパパ パン パパ パン パン〉
「「「はーぁー。よぃ!」」」
たぬき達が一斉に声を出して、難易度を一気に上げてきた!
〈ポンポポポポ ポンポポポン ポンポポ ポポポ ポン ポポ ポン ポン ポポポポポン ポポンポ〉
〈ブンブブブブ ブンブブブン ブンブブ ブブブ
ブン ブブ ブウァン ブウァン ブブブブブン ブブンブ〉
〈パンパパパパ パンパパパン パンパパ パパパパン パパ パン パン パパパパパン パパンパ〉
暫くすると、一曲分の長さを奏でていた。
それでもまだ勝負はつかない。
異なる曲を約二十曲分程度奏でていると、ついに動きがあった。
一番立派な大きな腹で良い音を出していたたぬきが、腹を反わせすぎたせいで、足がよろけて倒れた!
〈パァァン!〉
「親びんーー!!」
たぬき達が親びんに駆け寄る。
「親びん!大丈夫でっか?!」
「へへっ、このくらい問題ねぇ。」
親びんは叩きすぎたお腹を撫でる。
「ひゃー楽しかったなぁ。
おまえ、良い腹の音を出すようになったな。」
「お前達のおかげだ、楽しかったぜぇ。」
「何故太鼓勝負を?」
「お寺界隈では有名でな。この寺には、此奴達が何度も遊びに来るんだわ。それで俺が2、3ヶ月前からここの管轄になったんだが、噂通りの賑やかな一時を満喫させてくれるんだわ。ここ最近では、深夜になると太鼓を鳴らしてくれる歓迎までしてくれるのさ。そんで、俺も混ざって楽しもうってな。」
和尚さんは日本酒をまた一口飲み、楽しげに語る。
「...。」
一部のたぬきは呆然としていた。
一部のたぬきは、ひそひそ話す。
「俺たちの技、この和尚さんに効いてないぞ。」
爽真はその声を拾う。
つまり、たぬき達はお寺の和尚さんに何やら手を出していた。が、和尚さんには効果がなかったと。
きっと、たぬき達は襲っていたつもりだったのだろう。
そもそも何故ここにたぬきが集まっているのか。
一つ一つ聞いてみよう。
「お前達よ、我らが勝負に勝ったのでこちらの質問に答えてほしい。」
「「いいですとも。」」
たぬき達全員、右手を挙げて返事をした。
「一つ、何故このお寺に集っているのか。」
「おいら達の宿を手に入れるためです。」
「二つ、和尚さんや、皇子を襲った理由を教えてくれるか。」
「おいら達の技を認めて貰うためです。」
「それが理由か。あの三つ目から受けた水鉄砲には、命を脅かすほどの危険な毒が入っていたが。皇子に手を出し、襲ったから罰を与えたんだが。」
「え、そうだったのか。」
「きつねに、この水をかけると人間は面白い反応を見せてくれるっていわれたんでふ。毒だとは知らなかったんです。
人を死ぬ程驚かせてみないかってね。」
「三つ、これは計画して襲ったのか。」
「和尚さんを驚かせることができたならば、宿が手に入るだろう。
皇子を驚かせることができたならば、お前達たぬきの技が認められよう。この洞窟の此処らに扉を付ければ、あの扉の先から人が来よう。そしたら始まりだ。さるにそう言われていたんで、準備してたんです。」
「四つ、人を捕らえられたり、そっくりに化けてたではないか。その理由は?」
「化けるのは確かにおいら達の得意分野だが、人を捕らえたことはないです。」
「では、人を捕らえたのは貴方達ではないと。」
「白状した方が良いぜ、お前さん達よぉ。
俺も人の命を襲い、粗末にする奴は赦さないからなぁ。」
「ぐうぇ、本当ですって。」
「もう一度聞く。何故あの扉の前に人が捕まっていたのか教えよ。」
「「「知らない!」」」
「そもそも、扉の前に人が捕まっていたことを知らぬか。」
「「知らない!」」
「扉にそちらさんが近づいてきたもんだから、驚かせようと、きつねとさるの計画に乗りました。扉の前に人が捕まってたとか。」
「「知らないよ!」」
「ということは、たぬきの技を利用した奴が筋虎や富士景を襲ったということか。」
爽真は筋虎達と情報を共有し、状況整理をする。
「確かに、お前達のその筋力だったら俺も捕らえられてないかな。」
筋虎がたぬき達の丸いお腹を見ながら呟く。
「僕たちではないもん。」
「お前達の技は、きつねやさるに教えたか?」
「提供したことはあります。ぐすん。」
「そうか。分かった。お前たちと他の奴を見分ける方法があるならば教えてくれるか。」
「きつねもさるも、俺たちより器用で、賢いんだ。
あと、きつねもさるも、獣の狸は好きではないよ。俺たちは狸大好きだから、たぬきの顔を真似てるんだ。」
筋虎達は考え込み、たぬき達の今後の処遇を決める。
「なるほどな...。分かった。」
「たぬき好きの者達よ。今後、皇子や我が同志達を無闇に襲わないでただきたい。命を狙われれば、こちらも突然仲間を失わぬためにも、命を賭けて闘わねばならぬ。それ相応の覚悟がいるのだ。」
「えー、ぢゃあ人にちょっかいするのはダメなのか。」
たぬき達は落ち込む。
筋虎は咳払いしながらも話を続ける。
「技を認めて貰いたいとの話だったな。
その奇抜なお面の細工を認めてもらいたいということか。」
「そうさ、これが俺たちの技さ。」
「事細かく聞いて良いかな。」
「ああ、いいよ!おーい、親びーん。」
「奥の方で話を聞こう。」
「そんなに人を驚かすことが好きならば、夜行をするのはどうだい。」
急に佐吉が話し出した。
「え?人を驚かしてもいいの?」
「京の周りを夜だけな。夜な夜な歩くのは、不審な人が多い。
こちらにも利がある。
但し、お前たちが人に危害を加えたその時は、容赦なく倒す。良いな。」
「それは名案だな。
そういえば、宿などの拠点にも困っていたな。
皇子にも話を通しておこう。」
筋虎が賛同した。
もしかしたら、夜の不審者によく悩まされていたのだろう。
「やったー!」
たぬき達は喜んだ。
爽真は、見世物(奇術)の情報を得た。
神のお供:ミムス
主: 髙御産巣日神
※同行人の和尚さんの加護付与により、一時的に弁才天の力も追加されている
型: 蛇
口から頑丈な糸とバチを出す
お腹を膨らませて口と尻尾に糸を持って背筋を伸ばすと
琵琶へと変形する




