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物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう  作者: maricaみかん
3章 アストラ学園にて

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78話 警戒すべき相手

 『デスティニーブラッド』作中において、アストラ学園では、多くの問題が起こる。その中には、学園の人間が関わっている事件がある。黒幕が生徒だったり教師だったりするんだ。ということは、その人たちに注意を払うのは、効率的かもしれない。


 とはいえ、必ずしも正しい選択とは言えないんだよな。原作で悪役だった人間と、仲良くすることに成功した例はある。カミラやメアリ、フェリシアなんかがそうだ。だから、諦めるのは問題なのかもしれない。


 まあ、すぐに事件が起きるとは思えない。原作での事件は、どれも大掛かりな準備が必要だった。その兆候に気を配れば、早期発見はできるはずだ。油断は禁物ではあるが。


「レックス様、調子はどう? そろそろ、クラス分けの時期だよね。一緒になれるといいなー」


 原作では、優秀な方から上のクラスに振り分けされる。とはいえ、今は学園を紹介する期間だと言っていい。その間に選別を済ませて、区分けするのだそうだ。


 なぜ入試の段階で分けないのかというと、魔力量以外の才能を測りたいからなのだそうだ。魔力操作とか、属性の組み合わせとか。基本的には、魔力が少ないのなら、大掛かりな魔法は発動できない。ただ、魔力量の差が2倍くらいまでなら、技術でも逆転するからな。いや、流石に500と1000で逆転する気はしないが。まあ、魔力量は訓練で伸びる分野ではある。属性の数とは違う。


 とはいえ、入学の段階で訓練していない人間が、急に訓練するかと言われたら、大体はしないだろう。だから、魔力量で足切りをするのは、効率のいい判断だとは思う。まあ、属性の数でも足切りをする部分はあるのだろうが。例えば、一属性なら他より基準が厳しいとか。あり得る話だ。


 まあ、普通は属性が多いほど魔力量も多い。一属性(モノデカ)なのに、五属性(ペンタギガ)の魔力量を超えることなんて、レアケースと言っていいんだよな。


「私達の実力は、上から数えた方が早い気はしますね。レックス様のおかげです」

「あたしも、だいぶ強くなりましたからね。一属性(モノデカ)でも、より属性の多い魔法使いに勝てる。以前のあたしなら、信じなかったでしょう」

「レックス様に教えてもらったこと、全力で活かす。それが、私の恩返し」

「せいぜい、俺の役に立つことだ。そうすれば、ちゃんと使ってやる」


 せっかく学校もどきを作ったんだから、同じクラスに通えるくらい成長してくれた方が、ありがたいよな。それに、ジュリアが最上位のクラスじゃないと、原作からさらにズレることになってしまう。それは、かなり困るな。ただでさえ、読みきれなくなっているのに。


 ジュリア達とは軽く話した後、また別れる。お互い、別々のことをやっているからな。同じクラスになれないと、会える機会は少なくなるだろう。そう考えると、一緒になりたいものだ。


 次は、フェリシアとカミラに会うことになった。カミラとは、かなり久しぶりって感じだな。まあ、感動の再会なんて、俺達には似合わないだろう。いつも通りの話をしていれば、それで十分だよな。


「レックスさん、また新しい女を捕まえたんですのね。噂になっていますわよ」

「相変わらずね、このバカ弟は。あんたが変なことをすれば、姉のあたしにまで迷惑がかかるんだからね。気をつけなさいよ」

「全く。相変わらず口が減らないな。まあ、お前達らしいことだ」


 正直、カミラのツンケンした態度も、結構好ましいと思う。単純に、仲が良いからかな。あるいは、慣れてきたからだろうか。何にせよ、俺が嫌いで言っているのではないと分かるからな。今でも、俺の贈った剣を使ってくれているし。大切な姉であることは、間違いない。


 フェリシアだって、重要な場面では俺の味方をしてくれているからな。多少悪く言われるくらいのことなら、小さなことだ。今なら、心から信じられる相手だ。大抵の状況で、俺を支えてくれるはずだ。


 そう思うと、大きなことができたよな。原作での悪役が、俺を大事にしてくれるのだから。それに、悪事に走る未来も、見えにくくなったのだし。


 ということで、いくらか話した後に別れる。フェリシアはともかく、カミラは別学年だからな。どうしても、距離ができてしまう。仕方のないことだ。


 そんな感じで動き回っていると、今度は王女姉妹が見えてくる。こっちが見えると、すぐにミーアは大きく手を振ってくる。リーナは、軽く手を上げるだけだ。性格が出ていて、面白いな。


「レックス君とは、一緒のクラスは間違いないわね! 私もレックス君も、特別だもの!」

「私も、五属性(ペンタギガ)ですからね。決まったと言って問題ないでしょう」

「俺が一番なのは、当たり前だからな」

「そうね! でも、私達で協力すれば、もっと強くなれるわ! 一緒に頑張りましょう?」

「実際、以前に協力した時の魔法は、素晴らしかったですからね。もっと上を目指すのも、

悪くありません」


 こうして2人が協力していると、心が穏やかになるな。原作では、殺し合うだけの関係だったから。確実に、俺が居たから見ることができた光景なんだ。


 しばらく談笑して、今度も別れる。こうしてみると、仲の良い相手も増えたよな。転生した頃は、ここまでできるとは思えなかったものだが。少なくとも、今まで努力してきた価値はある。だからこそ、失わないためにも、努力を重ねるべきなんだ。


 次には、教師となったフィリスとエリナに会う。今でも俺の師匠だと思っているが、ちょっとお互いの立場が変わったな。まあ、悪い方向性ではないはずだ。


「……提案。レックスが上のクラスに入れたい相手がいれば、こちらで圧力をかけることも可能。どうする?」

「実力が足りているのなら、それも悪くないだろう。妙なひいきをすれば、お互いのためにならない」


 というか、明らかにひいきされたとみなされた生徒が、どんな扱いを受けるか。想像は難しくない。そう考えると、うかつなことはできないよな。


「よく分かっているな、レックス。実力が見合わない相手と訓練しても、お互い伸び悩むだろうからな」

「……現状。とりあえず、学校もどきの生徒は問題ない。あの人達は、歴代の中でも高い水準だから」

「なら、不当な扱いを受けなければ、それでいい」

「……了解。なら、レックスの望むようになるはず」


 つまり、フィリスから見て、俺の知り合いの実力は十分なのだろう。なら、期待して良いな。


「訓練を怠るなよ、レックス。お前ほどの才能が腐るのは、もったいないどころではないからな」

「俺を誰だと思っている? 何も問題はない」


 というか、フィリスですら苦戦するほどの相手だって、原作には居る。それを考えると、今の段階で気を抜くなんて、恐ろしくて無理だ。


 改めて気合を入れて、自分の部屋へと戻る。ブラック家とは環境が違うが、ウェスとアリア、ミルラが同じ部屋に居るおかげで、気分が落ち着く。正直に言って、かなり恵まれているよな。貴族であるメリットを感じるところだ。


「レックス様、食事の用意ができました。用意させていただきますね」

「ご主人さまは、お米好きですよね。多めに用意しましたよっ」

「レックス様の好みは、珍しいものでございますね。私も、食材の準備に動かせていただきましょう」

「そうだな。お前に任せる。だが、つまらないことに時間を使うなよ。お前の才能は、雑用にはもったいない」

「ありがたいお言葉でございます。今後とも、お役に立てるよう、精進させていただきます」


 原作での敵キャラは、この学園にいることを確認している。だから、これからどうすべきか。しっかりと考えていかないとな。それが、俺の未来を左右するだろう。


 教師のアイクと、クラスメイトになるだろうミュスカ。どちらも、とても危険な相手だ。とはいえ、まだ攻撃するには早い。様子をうかがって、慎重に行動していこう。

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