表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう  作者: maricaみかん
15章 作られる未来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

549/573

548話 止まらない問題

 ひとまず、レプラコーン王家で起こった反乱については落ち着いたと言えるだろう。もちろん、まだ問題はあるのだが。


 地道な復興作業や人心の安定は必要になってくるし、流民の問題だって出てくるだろう。だから、まだ終わったわけじゃない。同時に、今すぐ解決する問題でもないが。


 ただ、俺ができる大きなことは、もう無いと言っていいだろう。一歩一歩、確かに進んでいくしか無いんだ。


 というわけで、ブラック領でまた人員を集めるかもしれない。そんな計画を、少しずつ動かそうとしていた。


 課題に頭を悩ませる中で、ノックが響く。出ると、ミルラとジャンがいた。


「レックス様、ご報告がございます。今すぐ、時間を作っていただければと」

「ブラック家には直接関係ないんですけど、兄さんにとっては大事ですからね」


 ふたりとも、真剣な顔をしている。まあ、ミルラもジャンもいつも真面目なタイプではあるが。だが、いつもより深刻そうに見えるな。眉間にシワも寄っているし。


 まあ、深刻な事態には慣れてきてしまったんだが。そんなことあるか? まあ、物語の中に生まれ変わった時点で、必然とも言えてしまうか。


 ちょっと、歯を食いしばりたくなってきたな。それよりも優先すべきことがあるから、やめておくが。


「分かった。そうなると、俺の友達になにかあったのか?」

「そうなる予定とでも言いましょうか。いずれ爆発する問題でございます」

「兄さんが動くかどうかで、大きく未来が変わるでしょうね」


 つまり、今は問題がないが、そのうち大問題になると。


 俺の動き方次第では、事前に抑えられるかもしれない。あるいは、早期に問題を解決できるかもしれない。そういうことだな。


 誰の問題かは分からないが、それでも俺の選択は変わらない。ただ、全力を尽くすだけだ。


「なら、すぐにでも聞かせてくれ。いったい、何があった?」

「では、簡潔に。スコルピオ帝国が、レプラコーン王国に攻め込もうとしているのです」


 少し、息が止まった。原作では、攻め込まれるまではしなかったはず。確か、皇帝に挑む権利のある大会に参加して、優勝を狙う話じゃなかっただろうか。


 やはり、俺が動いた影響はいろんなところに広がっている。分かってはいたが、もう原作知識は当てにならないと思うべきだな。


 理由は、明らかだ。王家に対する反乱によって、レプラコーン王国が弱っているから。それ以外にありえない。


「なっ……。いや、敵国からすれば、妥当なタイミングなのか……」

「兄さんは、レプラコーン王家に滅んでほしくはないですよね?」


 ジャンは問いかけてくるが、まあ分かっているのだろう。とはいえ、確認は大事だ。俺が望むからと何も聞かずに動いて、実は違ったらな。


 ということで、聞かれること事態は受け入れるべき。むしろ、感謝すべきくらいかもな。


「当然だ。ミーアにもリーナにも、できる限りの協力をする。できれば、みんなにも協力してほしい」

「当然でございます。私も、微力を尽くす所存でございます」

「魔道具の運用も、必要になるかもしれませんね。ひとまず、僕たちで計画を練りましょう」


 帝国に攻め返すのか、専守防衛で収めるのか。その辺も含めて、かなり方針が大事になる。そして、準備も。


 ただ、最終的には1大決戦となるのだろうな。帝国の実力主義から考えて、力の差を思い知らせるのは絶対に必要になる。


「さて、どうしたものか。ミーアやリーナにも、話は通したいが」

「どこまで協力できるかを固めるのも、大事でしょうね」


 王都はレプラコーン王国の奥深く。実際に戦うのは、国境沿いになるだろう。そうなってくると、王女姉妹に戦ってもらうのは難しいかもな。


 とはいえ、王家にもできることはあるはずだ。少なくとも、ブラック家より優秀な諜報機関は持っているだろう。ブラック家に攻めようとする敵を教えてもらったこともあるんだ。


 まあ、まずは一度話したいところだな。細かいことは、そこからだ。


「ああ。こまめに相談するのが、理想ではあるが……」

「通話があるのですから、不可能ではございません。ただし、どこまで開示するかも問題になります」

「そうだな。ミーアとリーナが何度も不審な行動を取ることになる。何も説明しなければ、だが」

「同時に僕たちが、いえ、兄さんが疑われる諸刃の剣でもあります」


 王女姉妹と密談をしているというのは、どう考えても疑われる原因になる。他の家と連絡していても、同じだろう。


 だからこそ、慎重に事を運ぶべきなんだよな。ブラック家の敵にも、王家の敵にも、隙を与えるべきじゃない。


「そうなんだよな……。あまり保身を考えたくはないが、状況が状況だからな……」

「王国内で不和をもたらしていては、必ず負けるでしょう。兄さん、どうしますか?」


 かなり難しい問題だからこそ、即断はできない。もちろん、できる限り早く決めないといけないが。


 通話はとても便利な道具だから、できれば多く使いたい。それと同時に、危険を招きかねないものでもある。本当に、難しい。


 まあ、相手のあることだ。考えるのは、俺だけじゃないか。


「それこそ、俺ひとりで決めるべきことではない。ミーアたちと相談すべきじゃないか?」

「レックス様が望むのであれば、そのようにいたします」


 ちょっと引っかかる物言いだな。いや、ミルラに悪意があるわけじゃないのは分かるが。


 シュテルのこともあって、全肯定されるのは怖い。俺が間違った時に止めてくれる人がいないと、暴走しかねないからな。


 特に、俺は圧倒的に強大な力を持っている。だからこそ、ブレーキがなくては止まれない。


「いや、俺の案に問題があるのなら、ちゃんと言ってくれ。それが忠義だと思ってくれ」

「ハッキリ言ってしまえば、どの案も危険があります。だから、どれを優先するかだけなんですよね」

「ですので、私どもはレックス様のご意思を優先いたします。それが、最善でしょう」


 ああ、そういうことか。なら、俺の役割を果たしているだけと言えるだろう。集団のリーダーがやるべきことは、とにかく方針を決めることだからな。


 過剰に俺の意志を優先して、反対意見を飲み込んでいるわけではない。なら、十分だ。


「なら、良いが。それなら、通話のタイミングを計らないとな。さて、どうしたものか」

「一言二言程度を一方的に送るのも、手段でございます」


 ふむ。悪くないかもしれないな。こちらから用があるとだけ伝えて、向こうの都合で通話する。メールにも通じるやり方だ。


 なんだかんだで、技術というのは最終的に似たような使い方をされるものなのか。ミルラは俺の世界を知らないが、同じような発想をしている。


 とはいえ、有効なのは間違いない。ありがたい意見を聞けたな。


「ああ、なるほど。手紙のような形で運用するわけか。そうだな。それでいってみよう」

「では、雑事はお任せいただければと。最善を尽くさせていただきます」


 ひとまず、ミーアたちにメッセージを送ろう。それから、返事に応じて行動を変えれば良い。


 さて、どんな返答が返ってくるだろうか。かなり、気になるところだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ